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クリニックで働く看護師を解説!仕事内容や給料、転職のポイントなど

記事掲載日:2023/09/20

クリニックで働く看護師を解説!仕事内容や給料、転職のポイントなど

クリニックで勤務する看護師についてどのようなイメージをお持ちでしょうか。クリニックでの業務は看護だけでなく事務作業も比較的多く含まれるなど、病院で勤務する看護師とは少々異なります。本記事では、クリニックで働く看護師の仕事内容や給料、転職のポイントについて解説します。

クリニックの看護師の仕事とは?

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クリニックとは、一部の専門分野に特化した診療や、地域住民の日常的な健康管理を担う場所です。規模は比較的小さく、一人の医師や少数のスタッフで運営されることが多いです。

クリニックの看護師の主な仕事内容

・バイタルチェック(血圧、体温、脈拍、呼吸)
・点滴、採血、注射
・受付業務
・器具の管理
・清掃 など

クリニックの看護師の業務内容は、専門分野によって異なります。主な業務は、外来診療における医師の補助、診断や治療の補助などです。これには患者さまの症状の確認、検査の準備、投薬指導などが含まれます。

また、地域に根差したクリニックでは、患者さま一人ひとりと深く向き合い、その健康状態や生活習慣を理解することが必要です。患者さまと信頼関係を築き、安心して治療に挑める環境づくりが求められます。

さらに、事務作業も業務の一つです。事務作業は、患者さまの医療記録の管理や予約の取り扱い、薬品や消耗品の在庫管理など。これら全ての業務を通じて、看護師はクリニックの運営を支え、患者さまの健康と安全を守る重要な役割を果たしています。

クリニックの看護師の一日のスケジュール例

クリニックで働く看護師の一日のスケジュール例は、以下の通りです。

8:30~ 出勤
9:00~ 午前の診察開始
13:00~ 午前の診察終了・休憩
15:00~ 午後の診察開始
18:00~ 午後の診察終了
18:30~ 退勤

出勤したら、クリニック内の清掃や診察の準備を始めます。午前と午後の診察の間は、クリニック内で休憩する場合もあれば、自宅が近ければ帰宅して休憩をとる場合もあるでしょう。

【病院と比較】クリニックで看護師が働くメリット

クリニックと病院とでは、働き方が異なります。以下、クリニックで看護師が働く3つのメリットをご紹介します。

・プライベートとの両立がしやすい
・患者さまが比較的軽症のため精神的負担が少ない
・自宅周辺で働きやすい

プライベートとの両立がしやすい

病院に比べて、クリニックの看護師はプライベートとの両立がしやすいでしょう。病院では24時間365日の対応が求められることもあるため、夜勤や休日勤務が必須となることが多いです。それに対しクリニックは、一般的に平日の日中の診療がメインであり、夜間や週末の勤務、勉強会が少ないため、予定や生活リズムを整えやすいメリットがあります。

患者さまが比較的軽症のため精神的負担が少ない

クリニックに来院される患者さまの症状は比較的軽症のことが多いため、看護師の精神的負担が少ないというメリットがあります。病院では重篤な患者さまの看護に伴う精神的なストレスが大きい一方で、クリニックでは定期的な健康管理など、高度な治療を伴わないケースが多いです。クリニックの看護師は、最先端の医療処置を行う機会が少ないため、複雑で難易度の高い処置に携わる機会も少ないといえるでしょう。

自宅周辺で働きやすい

クリニックで働く看護師は、自宅周辺で職場を探しやすいというメリットがあります。限られた地域にある大きな病院とは違い、クリニックは日本全国に点在。自宅から近い場所で見つけやすく働きやすいため、通勤時間も短縮可能です。生活時間を有効に使えるだけでなく、地元の人々とのコミュニケーションも深まり、働きがいを感じる機会も増えるでしょう。

【病院と比較】クリニックで看護師が働くデメリット

次に、病院と比較した場合のクリニックで働くデメリットをご紹介します。以下の3つです。

・給料が比較的低い
・看護業務以外が多く看護師としての成長がしにくい
・人間関係が濃い

給料が比較的低い

クリニックで働く看護師の給料は、病院で働く看護師より低いことが多いでしょう。病院では夜勤や休日勤務を行うことが多く、特別手当が給与に反映されるため、総額としては高くなります。また、個人で経営するクリニックに比べ、規模の大きい病院は福利厚生が充実しているという点も、給料が異なる理由の一つです。

看護業務以外が多く看護師としての成長がしにくい

クリニックで働く看護師は、看護以外の業務が多く、専門的なスキル向上をはかることが難しい場合もあります。クリニックでは、患者さまの対応だけでなく、受付業務や予約管理、在庫確認など、多岐にわたる業務を看護師が担当することが多いです。看護師としての専門性や技術を深めたい場合は、病院での勤務の方が向いていることもあるでしょう。

人間関係が濃い

病院に比べて、クリニックはスタッフ数が少ないため、職場の人間関係が密接と言えます。良好な関係性であれば働きやすいですが、逆に対人関係の問題が生じた場合、解消するのが難しくなる場合も。また、スタッフ間のコミュニケーションの問題が全体の雰囲気に影響しやすいという特徴もあります。クリニックで働く際は人間関係の管理も重要な課題と言えるでしょう。

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【病院と比較】クリニックの看護師の平均年収

クリニックの給料は病院と比べて低いとされていますが、実際の数字を見比べてみましょう。

クリニックと病院の看護師の平均年収

クリニック 約378万円程度
病院 約506万円程度

出典:厚生労働省 「第23回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告(令和3年実施)」

上記の調査によると、クリニックで働く看護師の平均年収は約378万円、病院で働く看護師の平均年収は約506万円となっています。やはり病院で働く看護師の方が100万円以上平均として年収が高くなっています。

クリニックと病院の看護師の平均月収

クリニック 約35万円程度
病院 約38万円程度

出典:日本看護協会 「2021年 看護職員実態調査」

上記の調査によれば、クリニックでの看護師の平均月収は約35万円、病院の看護師の平均月収は約38万円。月収としては、あまり差が大きく出ていないのが分かります。

ただし、フルタイム勤務で診療科や規模は問わない場合の平均月収であるため、個人クリニックの場合はこの金額に比べやや低いと想定されます。

クリニックと病院の看護師のボーナス

クリニック 約60万円程度
病院 約99万円程度

出典:厚生労働省 「第23回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告(令和3年実施)」

クリニックの看護師のボーナスは平均で約60万円、病院の看護師のボーナスは平均で約99万円です。ボーナスの差は比較的大きく、約40万程度の差が生まれています。

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クリニックの主な診療科

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クリニックは内科・外科以外にも、さまざまな診療科が存在します。

・一般内科
・美容皮膚科・美容外科
・整形外科
・眼科
・小児科
・産婦人科

クリニックにはさまざまな診療科が存在し、それぞれ異なる専門性と患者層を持っています。上記の一般内科、美容皮膚科・美容外科 、整形外科、眼科、小児科、産婦人科はその一部です。上記以外にも皮膚科、耳鼻咽喉科、精神科など、特定の疾患を専門とする診療科が存在します。

とくにクリニックは、地域の医療ニーズに対応するため、高齢者向けのリハビリテーション科や生活習慣病を専門とする内科なども多く見られます。クリニックでの看護師の仕事は、その診療科の特性により大きく異なるため、転職を考える際は自身の興味やスキルに合った診療科を選ぶことが重要です。

クリニックの看護師の仕事のやりがい

・地域医療に貢献できる
・患者さまとの関係を築くことが出来る

クリニックで働く看護師の仕事には、特有のやりがいがあります。

一つ目は地域の医療へ貢献できているという実感を得やすいということです。地域に密着した医療を提供することで、患者さまが日常生活を送る中で直面する健康課題の解決に力を貸します。自身が属するコミュニティの健康を守り、周りの人々の生活の質を向上させることは、看護師として大きな達成感を感じる瞬間です。

二つ目のやりがいは、患者さまとの深い関係を築くことができる点です。クリニックでは、一人ひとりの患者さまと長期間にわたって関わる機会があります。その結果、患者さまの個々のニーズを理解し、より個別化されたケアを提供することが可能に。人間関係を通じて、看護師自身も患者さまから多くの学びを得ることができ、自己成長の一助にもなるでしょう。

クリニックの看護師はこんな人におすすめ!

・仕事とプライベートを両立させたい人
・能動的に業務をこなしていきたい人
・患者さまの死に直面するのが苦手な人

クリニックでは、基本的に休診日が決まっており、休暇日数も多いため、プライベートの予定が立てやすいです。また、日勤のみで働きたい方もクリニックの勤務が適しています。多くのクリニックは平日の日中に開院しているため、夜勤や週末勤務を避けることが可能です。

さらに、スタッフが少ないクリニックでは、看護領域かどうかに関わらず、自身で問題を解決し、多様な業務に携わることが求められます。自分から積極的に業務を進めていきたい方におすすめです。

そして、患者さまの重病や死に直面するのが苦手な方にとっても、クリニックは良い選択となるでしょう。クリニックは比較的軽度の症状の患者さまが多く、その点で病院と比べて心理的負担が少ない場合があります。

クリニックに転職する際のポイント

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病院からクリニックに転職を検討する際は、いくつかの点に注意しましょう。ここでは、クリニックに転職する際の5つのポイントについて解説します。

・クリニックの方針や理念をしっかり確認する
・雇用条件を細かく確認する
・職場の雰囲気を把握する
・クリニックの口コミや評判をチェックする
・転職サイトを活用する

クリニックの方針や理念をしっかり確認する

クリニックへの転職を考える際、クリニックの方針や理念を確認することは重要なポイントです。患者さまとのコミュニケーションを重視するところや、効率的な診療を重視しているところなど、クリニックによって方針・理念はそれぞれに異なります。

クリニックごとに運営理念や医療に対する考え方は大きく異なるため、自身の価値観や求める職場環境と一致しているかどうかを確認しましょう。

雇用条件を細かく確認する

クリニックへの転職を考える際には、雇用条件の詳細確認が欠かせません。具体的には、給与、勤務時間、休日の数、残業の有無、福利厚生の詳細などを見極めることが大切。クリニックによっては、病院と比較して労働条件が大きく異なることがあります。

病院と比較してクリニックは給与が低めですが、休日を確保しやすく、勤務時間が短いところも多いです。また、福利厚生については、社会保険や退職金制度、教育制度などよく確認し、自身の生活スタイルやキャリアプランに合致した条件が整っているかを確認しましょう。しっかりと自分に合った条件の職場を選択することで、長期的に働ける職場選びにつながります。

職場の雰囲気を把握する

クリニックへ転職を検討する際、職場の雰囲気を把握することは重要なポイントです。人間関係が密になりやすい小規模のクリニックでは、医師や他の看護師、事務スタッフとのコミュニケーションスタイルも、自身の働きやすさに直結します。

面接の際やクリニック見学の機会に、スタッフ同士のコミュニケーションの取り方や雰囲気を観察することがおすすめです。長く働き続けるために、しっかりと現場の雰囲気を把握しておきましょう。

クリニックの口コミや評判をチェックする

口コミや評判をチェックすることで、現在もしくは過去に働いていたスタッフや、患者さまの生の声を知ることができます。クリニックの実際の環境や雰囲気、業務内容を理解するための有益な情報源です。

具体的には、ネット上の転職サイトやSNSなどで、該当クリニックの評判や口コミを調査します。ただし、口コミ情報は個々の経験に基づくものであり、必ずしも全ての人に当てはまるわけではありません。複数の情報源から情報を得て、自身の判断に活かすことが重要です。

転職サイトを活用する

クリニックへの転職を考える際、転職サイトの活用は非常に有効です。

例えば、「ナースステップ」は看護師のための転職支援サービスとして多くの方からご利用いただいております。ナースステップでは、全国の求人情報を網羅しており、地域や専門領域、働き方などの細かな条件で検索可能です。

さらにナースステップでは、医療業界人材に特化したコンサルタントが転職活動を無料でサポート。実際にクリニックに足を運んでおりますので、現場の雰囲気や院長先生のお人柄、一緒に働く看護師の情報など、生の情報をお伝えできます。

自分一人で情報を探すのは大変ですが、コンサルタントの支援を受けることで、自分に合った求人情報を効率的に探すことが可能です。面接対策や転職活動の進行管理など、転職全体のサポートを受けられます。

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クリニックの看護師に関するよくある質問

クリニックの看護師に関するよくある質問についてお答えします。

Q.クリニックと病院の違いは?

A:入院できる人の数が異なります。

クリニックと病院の違いの最大の違いは、入院できる人の数。医療法第一条の五で、病院とは「二十人以上の患者を入院させるための施設を有するもの」、診療所(クリニック)とは「患者を入院させるための施設を有しないもの又は十九人以下の患者を入院させるための施設を有するもの」と定義されています。

出典: 医療法

Q.クリニックの大きさや診療科による違いは?

A:提供する医療サービスや看護師の業務内容、求められるスキルが異なります。

クリニックの規模は、小さいものから比較的大きなものまでさまざまです。規模や診療科により、患者数や看護師の仕事は大きく異なります。

たとえば、内科クリニックでは慢性的な疾患の管理や健康指導が主な業務となりますが、皮膚科クリニックでは特定の治療技術が求められることもあります。また、小児科クリニックでは子どもとご家族への対応が主な業務です。

このように、クリニックの大きさや診療科によって求められる看護師の役割やスキルが変わるため、自身の経験や興味、能力に合わせて適切なクリニックを選ぶことが重要です。

Q. クリニックの看護師に求められる資格やスキルは?

A:看護師資格が必須であり、患者さまとのコミュニケーション能力や、一定の専門知識、事務的な業務をこなすスキルが求められます。

クリニックの看護師には、国家試験である看護師資格が必要です。その他、一対一で患者さまと接する機会が多いため、良好なコミュニケーション能力も重要なスキルといえます。

また、診療内容によっては特定の専門知識が求められる場合も。さらに、クリニックでは少人数で運営されることが多いため、看護師自身が受付や電話対応などの事務的な業務を担当することもあります。これらの業務をスムーズに行うために、基本的なPCスキルや事務処理能力が必要です。

Q. 看護師をしていて辛いことは何?

A:命を扱う仕事ゆえに肉体的・精神的に負担が大きいことなどがあります。

看護師の仕事は、時には患者さまの生死に関わる重大な判断を伴うことから、責任が大きいです。体力を必要とするケア業務、患者さまやご家族からのクレーム対応、重症の患者さまとの別れなど、精神的な負担も大きいといえるでしょう。

さらに、働く施設によっては、夜勤や土日の勤務が含まれることが多いため、生活リズムを整えたりプライベートとの調整をしたりすることが難しい点も看護師にとっての辛さといえます。

また、看護師に限りませんが、職場内の人間関係によるストレスも。 そのようなストレスに対し、適切に対処できる能力が求められます。

Q. クリニックが忙しい時間は?

A:診療開始時と昼休み明けの時間帯、診療終了間際などです。

診療開始時は、予約を取っていた患者さまや急な体調不良で来院される方々が集中することが多いです。また、昼休み明けは、再度診療が始まるための準備や、診察を待つ患者さまの対応が必要となるため、再度忙しくなります。さらに、診療終了間隔でも、仕事帰りや学校帰りの方々が訪れたり、終業作業があったりするため忙しいことも。

また、緊急の患者さま対応や予期せぬ事態が発生した場合も忙しくなります。忙しくてもスムーズに運営するためには、ある程度予測を立て業務の優先順位を付けることが重要です。

Q. クリニックの看護師は採血ができないといけない?

A:基本的には採血の技術が必要とされますが、クリニックの規模や診療科によって必要かどうかは異なります。

看護師としての基本的な技術の一つとして採血が挙げられますが、実際に採血を行うかどうかは、クリニックの診療科目や規模によります。たとえば、小児科では医師が採血を行うケースも多いですが、内科などで働く看護師の場合、日常的に血液検査を必要とする患者さまが多いため、採血の技術が求められることが多いです。

一方、皮膚科や眼科など、血液検査が少ない診療科で働く看護師の場合、採血の機会はそれほど多くありません。 しかし、緊急時の対応能力を考慮すると、基本的な技術として採血をこなせることは看護師にとってプラスになります。

Q. 美容看護師に向いてる人は?

A:美容と健康に興味があり、より丁寧な顧客サービスを提供できる人などです。

美容看護師として働くためには、看護師としての基本的な医療知識や技術のみならず、美容医療の特殊な知識や技術も必要です。具体的には、美容皮膚科学、レーザー治療、ボトックス注射などの特別なスキルです。

また、患者さまの美容目標を理解し、最適な治療計画を提案し、患者さまの満足度を高めるためのコミュニケーション能力も重要。その際、身だしなみや丁寧な言葉遣いなど、高い接遇のスキルも求められます。

さらに、美容医療は常に進化している分野のため、新しい技術やトレンドを追い続ける柔軟性と学習意欲も必要とされます。

プライベートを充実させたい方は、クリニックの看護師がおすすめ

本記事では、クリニックで働く看護師の特徴とそのメリット・デメリット、また、転職を考える際の注意点について解説しました。

病院と比べて規模が小さく、地域密着型のクリニックで働く看護師は、患者さま一人ひとりと向き合う機会が多く、また、日勤のみで働くことが可能な場合が多いです。その一方で、給料が比較的低め。また人間関係が濃くなりがちであることが状況によってはデメリットとなる可能性もあります。転職を検討する際には、クリニックの方針や理念、雇用条件、職場の雰囲気などをしっかりと確認し、自分自身が働きやすい環境を選ぶことが大切です。

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