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小児科の看護師の仕事内容とは?働くメリット・注意点や年収を詳しく紹介

記事掲載日:2020/08/28

小児科の看護師の仕事内容とは?働くメリット・注意点や年収を詳しく紹介

小児科看護師に興味があるけれど、自分が向いているのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、仕事内容をはじめ、気になる年収やメリット、やりがいをご紹介し、小児科看護師の魅力を追求していきます。小児科看護師になりたい方はぜひ参考にしてみてください。

そもそも小児科とは?

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小児科は子どもに特化した診療を受けられる科です。一般的には、15歳頃までの乳幼児と子どもが対象ですが、年齢に明確な決まりはありません。

小児科では、外科的処置以外の多様な疾患の対応が必要です。診療するのは主に感染症やアレルギー系疾患、呼吸器系疾患など多岐に渡ります。他にも、乳幼児健診や予防接種などのサポートや保護者に対して発達や養育に関する指導・助言も小児科看護師の役割です。

【小児科で主に扱う疾患】

  • 感染症全般
  • アレルギー
  • 気管支喘息
  • 川崎病
  • 急性胃腸炎

医療機関によって扱う疾患は異なりますが、主に風邪などの感染症全般が多いです。高度な設備が揃っている医療機関では先天性心疾患や白血病、小児がんを診療する小児科もあります。また、発達障害を診療する小児科もあり、診察内容は多岐に渡ります。

小児科看護師の役割

小児科看護師の主な役割は、子どもの健康をサポートすることです。病気やケガの際の苦痛を和らげるような身体的なケアに加え、精神的なケアも重要な役割。病気などで不安なときや保護者が不在のときに、子どもから頼れる存在になることが求められます。

さらに、子どもと同じように不安や悩みを抱いているご家族の気持ちに寄り添うことも大切です。

小児科で働く看護師の主な仕事内容

小児科で働く看護師の主な仕事内容は下記の3つです。他の診療科と異なる点は、子どものケアだけでなく、ご家族のケアも非常に重視している点です。

  • 医療診療の補助
  • 子どものケア
  • 家族のケア

医療診療の補助

一般科と同様、小児科においても看護師の仕事は主に問診や処置など、医師の補助です。ただし、対象が子どもであるため、処置や観察、診察は配慮しなければならないことも多く、観察力も必要です。

病院によっては、新生児や赤ちゃん専用の集中治療室であるNICUやGCU、子ども専用の集中治療室であるPICUなど、特殊な部署が設けられていることもあります。

子どものケア

「小児科における患者さま=子ども」のケアは、単なる医療行為にとどまりません。小さい子どもには身の回りのお世話が必要なケースもあり、一緒に遊ぶのもケアの一環です。子どもの心を明るくするために、季節の行事や誕生日会を開催する病院もあります。

家族のケア

小児科の看護師には、保護者と子ども、双方へのケアが求められます。小児科にかかる子どもの保護者は、不安や心配からナーバスになっていることも少なくありません。適切な交流をはかり保護者の不安をやわらげるのも、小児科の看護師の大切な仕事です。

また、小児科では、患者さまの年齢が低いため、治療方針には保護者の意向が強く反映されます。

しかし昨今では、当事者である子どもにも治療方針などを理解させようという「インフォームド・アセント」という考え方が、一般的になってきました。小児科の看護師は、難解な医療知識を噛み砕き、子ども達にもわかりやすい言葉や資料で伝えていかなければなりません。

小児科看護師の働き先は?

小児科看護師の活躍の場は、クリニックだけではありません。さまざまな働き先があり、それぞれの施設に魅力やメリット・デメリットが存在します。

以下で、小児科看護師の主な働き先について詳しく紹介します。

小児科クリニック

メリット デメリット
  • やりがいを感じながら働ける
  • 中抜け時間があり拘束時間が長い
  • 残業が発生する

小児科クリニックは、小児科看護師の働き先として特に多くの方がイメージする施設です。「小児科で働きたい」という希望が叶うため、小児科での仕事にやりがいを持っている看護師にとくにおすすめです。

一方で、「クリニック」だと、患者さまが多く来院する仕事終わりや学校終わりなどの夕方〜夜までの時間帯も開院します。お昼休憩の「中抜け時間」が長いため、その分拘束時間も長いことや、遅い時間に患者さまが来院された場合も受付対応が必要であり、残業も発生しやすいです。

家庭と仕事を両立しながら小児科看護師として働きたい場合には、やや難しい勤め先といえるでしょう。

【小児科クリニックはこんな人におすすめ】

  • 観察力があり、やりがいを感じながら働きたい人

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小児科がある病院

メリット デメリット
  • 給料が高い傾向がある
  • 夜勤がある
  • 比較的重い病状が多く、抗がん剤治療や看取りの可能性もある

病院の小児科に関わる部署や配属先はさまざまです。外来では、小児科の専門的な治療を行うことが多く、病棟では重い感染症の治療、がん治療、看取りをすることもあります。また、集中治療室、回復治療室では特に重症な子どもの対応にあたります。

  • 【病院内で小児科に関わる主な部署】
  • 小児科外来
  • 小児科病棟
  • NICU(新生児集中治療室)
  • GCU(回復治療室)
  • PICU(小児集中治療室) など

病院の小児科外来は、受付時間を「午前のみ」や「お昼頃まで」としている場合が多く、外来勤務であれば比較的定時で帰宅しやすいでしょう。

病棟勤務の場合、夜勤も発生します。夜勤が発生する分、病院は看護師の勤務先の中でも、給料が比較的高い傾向です。

【小児科がある病院はこんな人におすすめ】

  • 夜勤をこなす体力があり、高度な医療にも対応できる小児看護のスペシャリストを目指す人

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保育園

メリット デメリット
  • ほぼカレンダー通りの勤務ができる
  • 拘束時間が短め
  • 子どもの成長を見届けられる
  • 医療行為がほとんど発生しない
  • 保育補助業務が発生する
  • 医療機関と比べると給料が低い傾向がある

保育園のイベントがある日以外は、原則土日祝日が休みで、カレンダー通りの勤務がしやすい職場です。クリニック勤務特有の「中抜け時間」にあたる時間が少なく、拘束時間は比較的短い傾向にあります。

仕事内容は園児の体調管理、健康診断の補助、衛生管理、衛生指導、保健だよりなどの発行、遠足や園外保育への同行、運動会などのイベントの救護、保育補助などです。

医療行為はほとんど発生しない分、専門的な医療行為を行う医療機関と比べると給料が低い傾向があります。

【保育園はこんな人におすすめ】

  • 子どもが好きで、プライベートとの両立をしたい人
  • 医療行為をしたくない人

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小児科に特化した訪問看護

メリット デメリット
  • 残業が少なめ
  • スキルが身につく
  • 子どもやご家族との信頼関係作りが大切
  • 人工呼吸器などの高度な医療ケアがある

小児科に特化した訪問看護事業所での勤務は、業務内容が小児科に特化しているため、小児科看護師としてのスキル向上に役立ちます。比較的残業が少ない事業所が多いです。クリニックのような「中抜け時間」が少ないため、拘束時間は比較的短い傾向にあります。

主な業務は排痰処置や人工呼吸器などの医療的ケアや、入浴や食事など日常生活の介助、発達リハビリテーションなどです。必要に応じて、ご家族との時間を作ることもあります。ご自宅を訪問して看護を行うため、患児さまやご家族との信頼関係作りが必要です。

【小児科に特化した訪問看護はこんな人におすすめ】

  • プライベートの時間と両立しつつ、小児看護のスキルを高めたい人
  • コミュニケーション能力が高い人

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放課後等デイサービス

メリット デメリット
  • 残業が少なめ
  • 勤務時間が短め
  • 医療行為が少ない
  • 児童の発達支援にかかわる対応をする必要がある

放課後等デイサービスとは、授業終了後や休業日に障がいを抱える児童の支援を行う児童福祉サービスのことです。放課後から夕方の時間帯と、夏休みなどの長期休み中に児童を預かり、生活能力向上のための訓練を行います。

看護師の役割は児童の健康管理と医療的なケアですが、ケアが必要な児童が在籍していなかったり、少なかったりする場合は他の職種のスタッフと同じように児童の対応をします。障がいのある児童の看護に関心がある方にはおすすめです。比較的残業が少ない施設が多く、クリニックのような特有の「中抜け時間」が少ないため、拘束時間は比較的短い傾向にあります。

【放課後等デイサービスはこんな人におすすめ】

  • 障がいのある児童の看護に関心がある人
  • 短時間勤務したい人

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小児科看護師のやりがい

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ここでは、小児科の看護師として働くやりがいを3つ紹介します。

子どもの回復や成長を見届けることができる

大きなやりがいのひとつは、看護師として継続的に関わっていく中で子どもが成長した姿を見る機会も多く、成長を実感できることです。また、子どもが元気になって退院していく姿を見るときも同様に喜びを感じます。

病気で困っている子どもやご家族にとって看護師は頼れる存在なので、必要とされている感覚を得られるでしょう。

子どもや家族との距離が近くなる

看護師としてケアに関わることで、子どもと心理的なつながりが深まったり、心が通じたと感じたりする瞬間も多いことでしょう。また、ご家族の気持ちに寄り添い、信頼関係を築くことで、ともに病と闘うチームとして歩むことができます。

このような経験を通して自身の成長も感じられ、やりがいを得られるでしょう。

幅広い疾患に関する知識が身につく

小児科は、新生児から乳幼児、学童期、思春期という幅広い発達年齢に対応できる力が求められる診療科です。がんや精神疾患、虐待などさまざまな健康課題に対応できる専門的知識と技術も必要。小児科で働くことで必然的にさまざまな知識が身につきます。

また、小児科での医療処置は子どもの小さな体に合わせて繊細な操作が必要です。小児科の看護師は必然的に医療スキルも向上します。

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小児科看護師の大変なこと

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小児科看護師にはやりがいを感じられる瞬間が多くある一方で、看護する対象が子どもという特性から大変と感じてしまう面も多くあります。以下に大変なことの例を紹介します。

  • 小児科特有の知識が多く、覚えるのが大変
  • 子どもや家族とのコミュニケーションに十分な配慮が必要
  • 子どもが苦しんでいる姿を見なければならない

小児科特有の知識が多く、覚えるのが大変

小児科にはさまざまな種類の疾患が集まり、看護師はそれぞれの病態について正確に把握しなければなりません。さらに、小児科の看護師は、小児の疾患による身体的な問題への援助だけでなく、成長や発達・家族への援助など、さまざまなニーズへの対応が求められます。

とくに新人看護師の場合、知識や技術をスキルアップするためには具体的な実践を重ねることが必要です。

  • 【小児科看護師として成長するためには】
  • 「この先輩のようになりたい」と思えるようなロールモデルを探す
  • 同期や同僚と習得技術を共有する
  • 職場の教育や研修を活用する

子どもや家族とのコミュニケーションに十分な配慮が必要

小児科では、保護者も子どもも体調不良のためナーバスになっています。そのため、看護師はその点を十分に配慮することが求められます。ご家族を含めたケアの能力や、信頼関係を構築する能力が必要不可欠です。不安から感情的になってしまう保護者もおり、看護師は家族の不安や悩みを聞いているうちに自分の気持ちも下がってしまう場合があります。

自分の心身を大事にしながら、子どもやご家族とコミュニケーションを取るようにしましょう。

  • 【小児科看護師として成長するためには】
  • 子どもや家族からの肯定的反応を励みにする
  • 家族看護の知識を高める
  • 日頃から声をかけて、丁寧な対応を心がける

子どもが苦しんでいる姿を見なければならない

看護師としてのキャリアが長くなると、より重い症状の子どもを受け持つようになります。
点滴や注射、採血、内服を嫌がってしまう子どもに対して可哀想に感じてしまうこともあるでしょう。子どものためになる治療とはいえ、辛そうにしている姿を目の当たりにすると、自信がなくなり無力感を感じてしまう人もいるようです。

小児科の看護師として働くには、子どもの治療を支え続けるという強い意志が必要です。

  • 【小児科看護師として成長するためには】
  • 信頼できる同僚や職場の先輩、友人や家族などに辛い心境を話す
  • 気分転換をしてみる
  • 場合によってはメンタルクリニックに相談する

小児科の看護師の年収はいくら?

  • 月給25~30万円、年収390~500万程度

小児科の看護師の給料は、月給25~30万円、年収390~500万程度であることが多いです。基本的には内科・外科など他の科と同程度ですが、業務量が多いこともあり少し高くなるケースもあります。

小児科で給料アップを狙うなら、小児看護専門看護師や新生児集中ケア認定看護師など、専門の資格を取得するのもオススメです。

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小児科看護師に向いている人の特徴

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  • 子供と関わることが好きな人
  • 子供の気持ちを汲み取る観察力がある人
  • コミュニケーション能力が高い人
  • 忍耐力がある人

小児科の看護師に向いているのは、まず、子どもと関わることが好きな人です。また、子どもの言葉にできない気持ちを汲み取れる能力も大切でしょう。子どもだけでなく、ご家族とも良好な関係を築くためにはコミュニケーション能力も必要とされます。子どもの機嫌に付き合わなければならないことも多いです。子どもの気持ちが落ち着くまで寄り添う忍耐力がある人も向いているでしょう。

小児科看護師になるために必要な資格は?

必要な資格
看護師免許
あると役立つ資格
  • 小児看護専門看護師
  • 小児プライマリケア認定看護師
  • 新生児集中ケア認定看護師
  • 臨床心理士
  • 社会福祉士
  • 小児アレルギーエデュケーター
  • 思春期保健相談士

小児科の看護師になるためには、看護師免許以外に必要な資格は特にありません。看護師として小児科の専門性を高めたい場合は、「認定看護師」や「小児看護専門看護師」の資格を取るのもおすすめです。

また、子どもや家族に寄り添う仕事のため、「臨床心理士」や「社会福祉士」など心理系や福祉系の資格も役に立ちます。

小児科看護師として理想の転職を目指すために

先述したように「小児科看護師」といっても、働き先はクリニックや病院、訪問看護などさまざまです。転職先として選ぶ施設によっては、生活と両立しながら働けます。

現在小児科看護師として勤務しており、働きやすさにお悩みがある方も、施設形態を変更すれば時間的な融通が利きやすくなる可能性があります。小児科看護師の「やりがい」と「生活と仕事の両立」の両方を叶えたい場合は、働き先をよく考えて選択しましょう。

小児科看護師に関するよくある質問

小児科看護師について、よく聞かれる質問を下記にまとめました。小児看護に興味がある方は参考にしてみてください。

Q.小児科看護師のあるあるとは?

A. 思いがけずかわいいナースコールに癒されることがあります

小児科に勤務していると、「抱っこして」「お絵描きできたよ!」など、子どもならではのかわいいナースコールが頻繁にあります。このようなナースコールを通した子どもとのやりとりは、毎日忙しく働く小児科看護師の癒しであり、活力の源です。

Q.未経験でも小児科看護師になれる?

A. 経験者の方が優遇されますが、小児科看護師は新卒や小児科未経験者でもなれます

小児看護は専門性が高いため、どうしても経験者が優遇される傾向にあります。小児科の経験がない方は、小児看護に役立つ資格を取得することでアピールするとよいでしょう。未経験者だと全く採用されないというわけではないので、まずは情報量が豊富な看護師専門の求人サイトで募集をいくつか探し、応募してみてください。

Q.小児科看護師に転職する際、志望動機はどんなことを書くといい?

A. 志望先の施設の特色に言及し、これまでの経験をどう活かしたいか書くとよいでしょう

志望先の施設の特色は事前に調べ、それに合わせて志望動機を書くようにしましょう。自身の経験やスキルをどのような点で活かせるか、じっくり考えましょう。また、子どもとご家族に対するケアは小児看護の分野で非常に大切です。子どもに対する支援だけでなく、ご家族への支援についても言及しましょう。

もし不安や分からないことがあれば、キャリアコンサルタントに添削してもらうのがおすすめです。

小児看護師は子どもとご家族にとって頼れる憧れの存在

子どもとご家族が病気などで非常にナーバスになっているとき、小児看護師は非常に頼れる存在です。活躍の場は診療所や病院だけでなく、保育園や訪問看護、放課後等デイサービスなど幅広いことがわかります。子どもの治療は成人と違って難しく、非常に根気がいるものです。しかし、子どもが喜んでくれたり、成長した姿を見せてくれたりするときに大きなやりがいを感じられるでしょう。

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