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介護施設で働く看護師の仕事内容とは?気になる給料なども紹介!

記事掲載日:2020/08/27

介護施設で働く看護師の仕事内容とは?気になる給料なども紹介!

介護施設で勤務する看護師の仕事内容は、ご入居者さまの生活のサポートをはじめとし、病院勤務とは異なる点が多くあります。本記事では介護施設で働く看護師の役割、メリット・デメリットや気になる給料などを解説します。また、必要なスキルや転職に際してのポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

介護施設で働く看護師の役割とは?

  • 介護士と連携しながらご入居者さまのサポートをする
  • ご入居者さまの健康を管理する
  • 医療面でのご入居者さまの状況について医師へ連携をする
  • 介護施設での看護師の重要な役割のひとつは、ご入居者さまの日常生活の援助です。介護士と連携しながら、より良い生活スタイルを目指してサポートします。

    ご入居者さまの健康管理を行うことも、看護師の重要な役割です。介護施設では病院に比べ、看護師や医師の配置は多くはありません。医師が常駐していない介護施設も多いです。そのため、ご入居者さまの健康管理や医療行為は看護師に任せられています。ご入居者さまの様子を観察しながら、必要に応じて、医師に健康状態の報告を行い連携していく必要があります。

    万が一、ご入居者さまが急変した際は重要な判断を任されることも。介護施設で働く看護師には、病院で働く看護師よりもアセスメント力や判断力が必要となるでしょう。

    介護施設で働く看護師の仕事内容

    介護施設で働く看護師の業務は、主にご入居者さまの健康管理に関するものです。食事介助や入浴介助などの介護業務は、基本的に介護士が行います。

    看護師の業務を大きく5つに分けて、それぞれ解説します。

  • 感染管理
  • 安全管理
  • 多職種間の連携
  • 生活支援
  • お看取り
  • ▼参考記事はコチラ
    有料老人ホームの看護師の役割と仕事内容は?働くメリット・注意点や給料について解説
    老健(介護老人保健施設)で働く看護師の仕事内容とは?勤務体制や年収もご紹介

    感染管理

  • マニュアル、備品等の整備
  • 感染対策の実践
  • 他の職種への指導 など
  • 介護施設には免疫力が低いご入居者さまも多いため、集団感染(クラスター)や病原体の持ちこみを防ぐことが非常に重要です。そのため、医療分野の専門職である看護師が中心となって感染対策のマニュアルを作成し、周知を徹底する必要があります。

    感染対策のためには、アルコールなどの消毒薬やマスク、手袋、エプロンなどの備品を切らさないように整備することが欠かせません。また、ご入居者さまはもちろん、職員自身の免疫力を向上させることも大切です。

    感染対策として普段からマスクの着用やアルコール消毒に加え、介助時には手袋の着用を徹底します。また、他職種の職員にも感染予防の手技について指導する必要があります。

    安全管理

  • 介護事故の予防対策の検討、家族・他職種への共有
  • 整容ケア
  • 非常時、災害時の対策 など
  • ご入居者さまの転落等による事故を防ぐため、予防策を講じることも看護師の仕事です。安心してご利用いただけるよう、ご家族や他職種へも予防策を共有します。

    また、爪切りや歯磨き、整髪などの整容ケアは、清潔さを保つだけでなく、怪我や感染の予防にもつながるため、介護施設の業務として必須。

    さらに、非常時や災害時に必要となる物資や医療機器、薬の確保など、もしもの時に備えた医療面の対策を講じる役割も担います。

    多職種間の連携

  • 医師や病院への連携・調整
  • 施設の相談員やケアマネージャーとの連絡・調整
  • 管理栄養士との連絡・調整
  • 一時帰宅の調整 など
  • 介護施設の看護師は多方面との協働や連携が必要とされる場面が多く、それぞれと上手く調整する能力が求められます。

    調整する先は、医師や病院・施設の相談員、管理栄養士、ケアマネージャーなど。ご入居者さまのサポートを円滑にするためにも、多職種とのコミュニケーションを図りながら良好な関係を築くことが大切です。

    生活支援

  • 食事摂取に関する相談・支援
  • 排泄支援
  • 症状への対応に関する相談・支援
  • ご入居者さまの健康管理 など
  • 介護施設での食事は、ご入居者さまにとっては一日のうちの大きな楽しみであり、健康維持のためにも大切なものです。栄養士などと連携し、専門性を活かすことで、より健康的な食事支援ができます。

    また、それぞれの排泄習慣をふまえた上で、自立した排泄ができるような支援を行うことも重要な仕事です。厚生労働省に公益財団法人日本看護協会が提出した「介護施設等における看護職員に求められる役割とその体制のあり方に関する調査研究事業報告書」では、「個々の排泄習慣をふまえた上での自立した排泄支援」は34%以上の施設で看護師が行っているとされています。

    その他、持病・加齢に伴って出現する症状への支援も求められます。服薬管理、点滴、痰の吸引、採血、尿道カテーテル、インスリン注射などの医療行為を行い、ご入居者さまの健康を維持することも看護師の重要な役割です。

    出典:厚生労働省「 介護施設等における看護職員に求められる役割と その体制のあり方に関する調査研究事業報告書

    お看取り

  • お看取りの意向の確認、計画の作成
  • 身体状況の変化に関するご家族への説明・精神的ケア
  • お看取り時の医師(病院)等との連絡・相談 など
  • 近年、介護施設でのお看取り件数は増加傾向にあります。特別養護老人ホームや介護老人保健施設では、お看取りの対応に看護職員が関与している割合が高いです。

    看護師は他職種の人と連携しながら、お看取りにあたってご入居者さま本人の意向の確認、ご家族への事前確認をし、介護計画を立案します。また、日々変化する身体状況の変化に関する説明や精神的なケアも大切です。お看取りの際には、かかりつけ医への連絡や相談をおこないます。

    看護師が介護施設で働くメリット

    介護施設での勤務は病院勤務と違う点も多く、メリットと感じられる点がいくつかあります。メインは下記の2つ。

  • プライベートを充実させやすい
  • 医療行為が少ない
  • そのため、とくにプライベートを充実させたい方や医療行為が苦手という方にとってはメリットが大きいでしょう。

    プライベートを充実させやすい

    介護施設は全体的に残業が少なく、定時に帰宅できることが多いです。急患対応が発生したり、急に入所対応をしたりすることが少ないため、病院勤務に比べて勤務時間が安定しています。

    デイサービスなどサービス時間が決まっている職場であれば、夜勤がないことも魅力。プライベートの時間を充実させたい人、子育て中や介護中の人などには働きやすい環境と言えます。また、身体的な介護は介護士が行うことが多いため、基本的には体力面での負担が少ない点も嬉しいポイントです。

    医療行為が少ない

    介護施設は、リハビリテーションや生活のサポートがメインとなるため、医療行為は病院と比較すると少なめです。そのため「医療行為が苦手な人」や「ご入居者さまとの交流にやりがいを感じる」という人に向いている職場と言えます。

    また、医療行為が少ないため、結婚や出産でブランクがある人でも基本的な看護知識があれば働くことができます。ご入居者さまの入れ替わりが病院よりも少ないため、情報収集にかかる時間も減らすことができるでしょう。

    看護師が介護施設で働くデメリット

    上記のようなメリットがある一方で、介護施設で働くにはデメリットもあります。代表的な下記の二つを見ていきましょう。

  • 看護スキルを磨くことが難しい
  • 介護業務が多くなることもある
  • 看護スキルを磨くことが難しい

    介護施設では医療行為が少ないため、最先端の知識を手に入れたりや看護技術を磨くことは難しい環境と言えます。

    病院のように勉強会や研修もないため、最先端の知識については自分で調べたり、外部の研修会に参加したりする必要があります。新たな知識を得て看護技術を磨きたい人や、医療行為の技術、看護の技術を向上させたい人には病院勤務の方がおすすめです。

    介護業務が多くなることもある

    働くスタッフの数が全体的に少ない職場では、看護師も介護業務を手伝う機会が多くなります。病院で働いていても介護的な業務を行うことはありますが、介護業務が特に苦手と感じている人にとっては、デメリットになることも。

    看護業務をメインで行いたい人は、その希望に合った施設へ転職することもおすすめ。また、介護施設に転職する場合でも、転職の面談の際に介護職員の人数や、介護業務の負担の程度も確認すると安心です。転職エージェントを活用して、確認してもらうのもよいでしょう。

    介護施設勤務の看護師の給料

    常勤 非常勤
    月収 373,750円 225,040円

    介護施設で働く看護師の給料は、常勤と非常勤、地域、施設の種類や夜勤の有無などによって差があります。

    厚生労働省の2022年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、介護施設における看護師の給料は、常勤の場合は月収373,750円、非常勤の場合は月収225,040円です。

    2022年度は介護職員処遇改善支援補助金の影響があり、前年に比べ給料は上がっています。
    年収は300万円~450万円ほどで、状況によって給料に差はあるものの、病院勤務と大きく給料が変わることはないと言えるでしょう。
    むしろ人によっては、夜勤手当やオンコール手当、基本給、賞与などさまざまな条件から、病院よりも給料が高くなる場合もあります。

    出典: 厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」

    ▼参考記事はコチラ
    【2023年版】看護師の給料ランキングを大公開!カテゴリー別に最新情報をお届け

    介護施設はこんな看護師におすすめ!

  • ✓ ワークライフバランスを重視したい
  • ✓ 高齢者のケアに興味がある
  • ✓ いろんな職種の人と連携して仕事をしたい
  • 介護施設での勤務は、残業が少なく、施設によっては夜勤がないため、プライベートの時間やワークライフバランスを重視したい人にはおすすめです。

    また、高齢者とコミュニケーションを取ることにやりがいを感じる人や、高齢者へのケアに興味がある人にも向いています。高齢者看護や認知症看護は、高齢化が進む現代で需要が高まる分野です。介護施設での勤務経験は、今後のキャリアで大きな強みになります。また、特定看護師や認定看護師の取得など、スキルアップを目指す場合でも役に立つことでしょう。

    また、看護師の数が少ない職場のため、多職種との連携が重要です。いろいろな職種のスタッフと関わりながら、多角的な視点を持ちたいという場合にも介護施設はおすすめです。

    看護師が介護施設で働く際に必要なスキル

    介護施設で看護師として働くためには、基本的な看護技術と経験があれば問題なく勤務できます。

    付け加えるとすれば、介護施設には医師や看護師が少ないという特徴から、特定看護師のスキルがあるとなお良いでしょう。特定看護師は、医師または歯科医師の判断を待たずに一定の診療補助を行えるため、日々の業務に大変役立つスキルです。

    介護施設へ看護師が転職する際のポイント

    介護施設の看護師は病院勤務とは違う働き方をするため、転職する場合には事前に面接対策をしておくのがおすすめです。ひとくちに介護施設といっても、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、デイサービスなど種類はさまざまです。各介護施設の特徴をとらえて、その職場に合った自己アピールをしましょう。

    志望動機

  • 医療に近い介護現場でこれまでの看護知識や経験を活かしたい
  • 中長期的な関係を築いて看護に携わりたい
  • ご入居者さまの生活をサポートしたい
  • 志望動機は、高齢者や要介護者の看護に関する知識や経験をアピールすると印象が良いです。志望している施設で働きたいということを効果的に伝えるためには、病院勤務やクリニックなどとは違う働き方に興味があることを伝えましょう。

    さらに、具体的な経験談やこれまでの業務の中で感じたことなどを交えて、魅力的な志望動機にすることがポイントです。

    ▼参考記事はコチラ
    看護師の面接で多い質問&回答例-受け答えのポイントや事前準備について

    【参考】介護施設の種類

    介護施設は、介護が必要になった高齢者が通所したり、居住したりする施設で、さまざまな種類があります。

    特別養護老人ホーム

    特別養護老人ホームとは、要介護3以上の高齢者(65歳以上)が居住する施設です。看護師は食事・入浴・排せつ介助・洗濯など日常生活を送るための介護サポートがメインとなります。また、医師が常駐していないため、緊急時には看護師が対応する必要があります。

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    特養(特別養護老人ホーム)で働く看護師の仕事とは?必要なスキル、働くメリット・注意点を解説

    介護老人保健施設

    介護老人保健施設は、退院後すぐに自宅での生活が難しい高齢者が在宅復帰を目指すための居住施設です。入居期間は原則3カ月から6カ月で、医師と看護師の常駐を義務づけています。そのため、看護師が介護老人保健施設で働く場合には、夜勤があります。

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    老健で働く看護師の仕事内容とは?気になる休日や年収もご紹介

    介護医療院(介護療養型医療施設)

    介護療養型医療施設は、原則として短期滞在を想定した病院としての機能をもつ施設です。日常生活の介助も医療も必要とする要介護の高齢者が入居しています。しかし、原則に反して滞在が長期化するケースが多く、介護保険費用がひっ迫されている現状から、介護保険法改正で廃止が決定しました。現在は介護医療院が同じ役割を担っています。

    サービス付き高齢者向け住宅

    サービス付き高齢者向け住宅は60歳以上であれば入居できる施設です。60歳未満でも、要介護や要支援認定を受けていれば入居することができ、多くの施設が賃貸借契約となっています。バリアフリー対応となっており、常駐する介護や医療スタッフが安否確認や生活相談を行っています。

    有料老人ホーム

    有料老人ホームは年齢制限がありません。サービス付き高齢者向け住宅と同じく高齢者が生活するための施設です。

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    有料老人ホームで働く看護師の仕事とは?働くメリット・注意点や給料について解説

    養護老人ホーム

    養護老人ホームは、介護の必要性に関係なく、経済的、身体的、環境的に困窮して在宅での生活ができない高齢者が入所する施設です、住居がない、無年金などの高齢者が自立した日常生活を送り社会復帰を目指すことが目的です。

    経費老人ホーム

    経費老人ホームは、ご家族からの支援を受けることができない低所得高齢者が入所できる施設です。60歳以上で自立した生活ができない高齢者が対象です。

    認知症高齢者グループホーム

    認知症高齢者グループホームは、要支援2以上の認知症の高齢者が共同で生活し、日常生活の訓練を受けるための施設です。

    デイサービス

    デイサービスは、比較的要介護が低い高齢者が自宅から通所して、リハビリテーションや生活補助を受ける施設です。看護師を含め働くスタッフが少ないため、看護業務に加えてリクリエーションや介護業務を行うことも多くなります。

    ▼参考記事はコチラ
    デイサービスで働く看護師の仕事内容とは?メリット・デメリットや給料についても解説

    介護施設への転職は、ナースステップを活用しよう

    介護施設での看護は、病院勤務とは大きく異なり、ご入居者さまの健康管理が主な業務です。医療行為は少なめで、日々の生活の中での体調管理を重点的に行います。

    ご入居者さまとの心温まる交流や、より良い老後の生活スタイルを目指した看護を実践することで、やりがいを感じられることでしょう。また、看護職員が少ない職場のため、他職種のスタッフと協力しながら業務を進める必要があります。少人数でチームとして連携しご入居者さまのサポートを行うため、ケアがうまくいったときの達成感は大きいものです。

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