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訪問看護はきついって本当?リアルな現場の実情を告白

記事掲載日:2021/08/13

訪問看護はきついって本当?リアルな現場の実情を告白

「住みなれた自宅で病気の治療をしたい」「通院が困難」などの理由により、在宅医療を選択する患者さまは年々増加しています。さらにコロナ禍により、入院や通院から在宅医療にシフトする患者さまも急増しました。その結果、訪問看護のニーズはますます高まっています。

一方で、訪問看護はよく「きつい現場」と言われ、看護師の職場として敬遠される傾向が強いようです。

そこでこの記事では、訪問看護への理解を深めるべく、その実情を徹底調査します。正しい理解を持って訪問看護の仕事に向き合うことで、看護師のキャリアの選択肢となり得るのか、考えていただくことをおすすめいたします。

訪問看護とは?仕事内容を詳しく解説

介護中の訪問看護師

自宅や老人ホームなどで療養する患者さまの元へ医師や看護師が出向き、治療やケアを行うのが訪問看護です。こちらでは、特に看護師が担う役割を紹介します。

看護師が1人で患者さまの居宅を訪問し、看護を行う

入職して数ヶ月は先輩看護師が同行しますが、その後は基本的に看護師1人で患者さまの居宅を訪問し、看護を行う必要があります。仕事内容は多岐に渡り、食事や排泄ケアなど日常生活のサポートから、点滴などの医療処置、健康管理、家族へのサポート、お看取りまで幅広く行います。

医師や薬剤師など多職種との連携もしつつ患者さまをサポートする

患者さまの元へ向かうのは基本的に看護師1人ですが、医師や保健師、薬剤師、作業療法士など、さまざまな職種のスタッフと協働し、患者さまをサポートします。特に看護師には「患者さまの正確な情報を収集し、周囲のスタッフに共有する」という重要な役割もあります。

訪問看護について押さえておきたいポイント

「訪問看護指示書」をもとに看護を行う

看護師は、患者さまの主治医が作成した「訪問看護指示書」に基づいて看護を行います。「訪問看護指示書」には、患者さまの疾患名や病状、投与する薬やその量、投与方法などがこと細かく記載されています。なお、「訪問看護指示書」は医療保険・介護保険どちらも利用でき、主治医が発行して最長6ヶ月の有効期限があります。

就業場所は、訪問看護ステーション、病院、診療所など

看護師の拠点は、訪問看護ステーション、訪問看護を導入している病院・診療所です。拠点には、看護師のほかに保健師や助産師、リハビリ職の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などが所属しています。

訪問看護ステーションが急速に増えてきている

日本訪問看護財団が公表している「訪問看護の現状とこれから 2021年版」によると、訪問看護サービスを提供している機関は全国に12,573箇所、そのうちの90%以上が「訪問看護ステーション」だと言います。訪問看護ステーションは、2010年から10年で約2倍にも増加しているようです。また、一般的な訪問看護ステーションのサービスをさらに手厚くした「機能強化型訪問看護ステーション」も存在します。

急増の理由として、超高齢化社会の到来に向け、厚生労働省が「地域包括ケアシステム」の一環として在宅医療を推進していることも背景にあります。

▼参考記事はこちら
訪問看護の現状とこれから 2021年版
地域包括ケアシステム

訪問看護はなぜきつい?対策も紹介

考え込む訪問看護師

看護師の仕事内容的には、病棟看護師やクリニック看護師とそこまで大差がないと思った人もいるかもしれません。ではなぜ、そこまできついと言われるのでしょうか。

自己判断への責任が重い

原則1人で患者さまの居宅を訪問し看護する必要がある訪問看護師は、現場で困ったことや不安が発生しても、自身で判断し行動しなくてはいけません。そうしたプレッシャーや責任の重さと常に背中合わせなのがきついポイントと言えます。そのため、困った時にはすぐ主治医や先輩看護師などに連絡が取れるよう、体制を整える必要があります。

患者さまのご家族とのコミュニケーションが難しい

患者さまの居宅を訪問するので、在宅中のご家族とコミュニケーションをとる機会も増えます。特にご家族の目の前でケアをする場合は、「見られているプレッシャー」を感じる看護師も多いようです。また、ご家族を対象としたケアも看護師の仕事のひとつであり、ご家族との距離感に悩む人もいます。患者さまに接するような気持ちで積極的にコミュニケーションをとって、信頼関係を構築する必要があります。

他の業種との連携が大変

訪問看護師には、他職種との連携が避けて通れません。お互いの仕事への理解やコミュニケーションが必須となるので、苦手な人には苦痛と感じるでしょう。まずは、他職種の業務内容や役割を知ることに努めてみてください。そうすると、たとえチームのスタッフに変更が生じた際も、話をスムーズに進められます。連携しているスタッフも、看護師の業務にも理解を示してくれるはずです。

オンコール対応の負担がある

オンコールとは、患者さまの緊急時に対応できるように、夜間や休日など、オンコール担当の看護師は、連絡が来たら対応できるようにしておかなければなりません。コールの内容によっては、電話で指示を出して様子を見たり、直接患者さまの所へ訪問したりします。

患者さまの不測の事態はいつ発生するか不明ですし、深夜に訪問する可能性もあるため、オンコール勤務の日は緊張感と心理的な負担を伴います。なお、ほとんどの職場では「オンコール手当」が支給されますが、法的な義務はないため支給されない職場もあります。手当の有無を入職前に確認することや、オンコール対応が難しい場合は、オンコール対応がない職場への転職が望ましいでしょう。

訪問看護の魅力、向いている人は?

笑顔の訪問看護師

「きつい」と言われる訪問看護の仕事ですが、訪問看護ならではの魅力も忘れてはいけません。訪問看護の適性がある人についても併せてご紹介します。

訪問看護の魅力

1人ひとりの患者さまに、寄り添った看護ができる

在宅医療を選択している患者さまにとっては、「たった1人の看護師」が医療との架け橋になります。そのため、1人ひとりの患者さまに寄り添った看護が可能で、看護師としてのやりがいを感じられます。

夜勤がない

訪問看護師は、病棟看護師とは異なり基本的に夜勤がありません。そのため、生活リズムが整い、規則正しい生活を送れます。オンコール対応のある職場もありますが、交代制であり頻度もそこまで高くないので、夜勤と比較すると体力的な負担は少ないようです。

さまざまな医療知識が身につく

訪問看護を利用する患者さまには、10人いたら10通りの治療とケアを行う必要があります。病院やクリニックでは担当する診療科、そこに通う患者さまがある程度限定されているので、必要な知識やスキルしか身に付けられない恐れがありますが、訪問看護は、診療科も患者さまも限定されていません。そのため、さまざまな医療知識と対応力が備わります。

訪問看護に向いている人

責任感が強い

訪問看護は、看護師ひとりで患者さまの対応をしなくてはならないため、強い責任感が求められます。そのため、日頃から何事も責任感を持って行動できる人が向いています。責任感は一朝一夕で身に付くものではありませんが、訪問看護の業務を通じて養われていくこともあるでしょう。

自身の判断で動きたい

1人の患者さまと向き合う看護師には、「臨機応変な判断力」が求められるのは前述のとおりです。つまり、自身の意思で、主体性を持って働けます。責任が重いのは確かですが、あまり人の意見に振り回されず業務を遂行したい人にはぴったりです。

多職種連携が得意(または興味がある)

多職種連携が避けられない訪問看護師ですが、こうしたチームプレイが得意な人、コミュニケーション能力がある人は存分に活かすことができます。

まとめ

きついイメージが横行している訪問看護の仕事ですが、病棟看護師やクリニック看護師にはない魅力ややりがいにも溢れていると理解していただけたでしょうか。

超高齢化社会がますます深刻化するのは明らかであり、訪問看護の需要はさらに高まっていくでしょう。そして今、看護師の働き方として、訪問看護を選択する人も増加しているようです。患者さまにとって、「たくさんいる看護師の中のひとり」ではなく、「唯一の特別な看護師」になれるのも、選ばれる理由なのかもしれません。

ただし、向き不向きはありますので、まずは実情をしっかりと理解した上で、訪問看護の仕事に目を向けてみてください。

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