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美容皮膚科の看護師の働き方とは?働きがいや給料面など解説

記事掲載日:2021/10/06

美容皮膚科の看護師の働き方とは?働きがいや給料面など解説

看護師の転職先として人気の高い美容看護師ですが、コロナ禍による看護師の働き方改革も追い風となり、ますます注目が集まっています。

そこで今回は美容看護師が活躍する舞台の中から美容皮膚科をクローズアップして、仕事内容や働くメリット・注意点などをご紹介します。

美容皮膚科看護師の仕事内容・役割

笑顔の美容皮膚科の看護師

一般病院皮膚科の患者さまとは異なり、美容皮膚科に来院する患者さまは、「キレイになりたい」「肌を若返らせたい」といった目的で来院され、身体的に健康な方がほとんどです。そのため仕事の内容も一般病院皮膚科の看護師と美容皮膚科の看護師とでは大きく異なります。

一般病院の皮膚科における看護師の業務は、医師のサポートや簡単な処置対応をメインとするため、患者さまへ直接施術することができません。
一方で、美容皮膚科の看護師は医師の指示のもと、実際に患者さまの顔や身体に直接施術をすることができます。施術の内容としては、アンチエイジングや美肌を目的とした施術(シミ・そばかす・シワ・たるみの改善・脱毛・美容点滴など)になります。

またクリニック内で取り扱っているドクターズコスメの紹介や、自宅でのお手入れ情報を提供することも、一般病院皮膚科看護師との大きな違いです。
施設によっては、患者さまのカウンセリングやアフターケアに加えて、受付や院内清掃などの雑務も美容看護師が担当しています。

なお、美容皮膚科と並列で「美容クリニック」として扱われる施設に美容外科があります。

美容外科では、「メス」などを使用する外科的手術を伴います。外科的手術は医師しか行えないため、美容外科看護師の業務は手術室看護師としての役目や医師のサポート役に徹するのが特徴です。

美容皮膚科の看護師として働くメリット

美容皮膚科の看護師には、美容看護師ならではのメリットに加え、独特なメリットも存在します。

お給料が高い

美容皮膚科は一般病院の皮膚科(保険診療)とは異なり、自費診療が中心のため看護師のお給料が高めに設定されています。例えば、全国に展開する美容クリニックの中途採用の募集要項によると、東京などの主要都市エリアでは月給35万円程度、賞与は年2回となっています。年収は500万円近くとなり、インセンティブやノルマなどの指名制度を導入しているクリニックでは、頑張り次第で病棟勤務よりも高収入となる可能があります。※美容看護師共通

夜勤がない

一般的な美容皮膚科は入院設備を所有していないため、夜勤が発生しないことがほとんどです。また診療は予約制が多く、残業もほぼありません。
ただし繁華街などにある美容皮膚科クリニックは、勤め人を顧客対象としていることもあり、夜遅くまで営業しているケースも散見されるため注意が必要です。※美容看護師共通

美容知識がより深まる(自分磨きへ繋がる)

美容皮膚科では常に最先端の技術を取り入れた施術を行うため、看護師も美容に対する知識やスキルを都度アップデートすることができます。またクリニックで行っている施術に関しては、無料または社員割引価格で施術を受けることができ、自身の美も追求することができます。

美容皮膚科は、「皮膚」という誰もが持つ人間本来の「素材」をテーマ/課題としています。

皮膚は加齢によっても衰えるため、一般的な病気の治療や美容外科の施術で得られる「完治(ゴール)」が存在しません。
美容皮膚科の看護師として働くことで、常に最新の美容知識がアップデートでき、自身の皮膚の衰えなどを予防することができます。

注射スキルを退化させずに済む

美容皮膚科で看護師が行う施術は、レーザーや美容点滴・注射(コラーゲン注入・ボトックスなど)による治療が中心となります。一般病院やクリニックで培った注射スキルをそのまま活かせるだけでなく、日々の施術でさらなる上達も期待できるため、仮に美容看護師から一般看護師に復帰する際もスキルの退化に悩まされる心配は少ないと言えます。

患者さまとの信頼関係が築ける

美容皮膚科は美容外科と異なり、必ずしも一度の施術で効果が現れるとは限りません。患者さまは継続的に通院する必要があり、時間をかけて患者さまと強固な信頼関係を築き上げていく必要があります。患者さまが看護師の顧客になることで自身をブランディングできるとともに自信にもつながります。

美容皮膚科の看護師として働く際の注意点

美容皮膚科の看護師

美容皮膚科はどこも同じだと考えがちですが、クリニックによって尽力するサービスをはじめ、強みや弱みが異なります。事前にしっかりと確認して転職後のミスマッチを防ぎましょう。重点的に確認すべきポイントは下記です。

ノルマの有無

美容皮膚科で働く看護師には、患者さまに「看護」というよりも「サービス」を提供する側面が強い傾向にあります。ノルマを課しているクリニックもあり、達成すれば収入に直結します。しかしノルマを達成することができなければ、日々プレッシャーとの戦いになります。就業前にノルマの有無について確認しておきましょう。

人間関係は良好?

美容皮膚科は、女性中心の狭い世界での勤務となることがほとんどです。小さなトラブルが原因で周囲から孤立してしまうと逃げ場がなくなるため、人間関係はあらかじめ把握しておいた方が良さそうです。事前に顧客として転職先候補のクリニックを利用し、職場環境の雰囲気を確認することもおすすめの方法です。

看護スキルが退化する恐れも

美容に対する意識やスキルは向上しますが、本来の看護師としてのスキルが退化する恐れがあります。対策として、都道府県の看護協会が実施する研修・セミナー等に自発的に参加する等し、最新の医療情報のチェックを怠らないようにしましょう。

病院以上にクレーム対応を行わなければならない場合がある

美容皮膚科へ訪れる患者さまは、自身が「顧客」という概念が強く、また看護師が提供するのも"治療"ではなく「サービス」と捉えています。
医師や看護師の接遇によってはクレーム対象となる可能性があるため、患者さまに対する態度や話し方には病院以上に気遣う必要があります。

美容皮膚科看護師になるために資格は必要?

美容皮膚科の看護師になるためには、看護師か准看護師の資格を持っていれば問題ありません。そのほか、特に必要な資格はありません。ただし、エステティシャンなど美容系の資格は美容皮膚科の看護師業務にも活かせますし、さらにアピールポイントにもつながるため、取得を検討することもおすすめです。

美容皮膚科の看護師へ転職する難易度はどのくらい?

カウンセリングを行う美容皮膚科の看護師

結論から言うと、美容皮膚科の看護師への転職は非常に難しいです。これは、給与水準の高さと恵まれた労働環境、女性の大きな関心ごとである「美」を追求するという点に起因しています。

特に、地方は美容皮膚科自体の数が少なく、求人を探すことさえ一苦労です。そうした状況下でも美容皮膚科への転職を実現させるためには、「美容に関する知識を日々勉強する」こと、「美容に関する資格の取得を目指す」こと、「転職エージェントに登録する」ことが有効です。

なお、転職エージェントを利用する際は美容系に特化した転職エージェントのみの登録では絶対数が少なく、選択肢が限られているため医療系/看護師系にも幅を広げて登録することが転職成功の秘訣です。

まとめ

美容看護師という働き方は、看護師として新しいキャリアを形成するといった意味でも非常に価値があります。特に美容皮膚科は一般的な看護師スキルがあれば挑戦できるため、「美」に興味があり、新しいフィールドで活躍したいと思っている方にはぴったりな職場です。

これまで培った看護師スキルを活かして人々の「美」に貢献できるのは、貴重な経験になるはずです。輝くキャリアを手に入れるためにも、日々の努力に励みましょう。