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訪問看護のマナーで押さえておきたいポイントを解説

記事掲載日:2022/09/12

訪問看護のマナーで押さえておきたいポイントを解説

訪問看護の需要が高まり、訪問看護事業所自体の数も年々増加しています。実際に公益財団法人日本訪問看護財団の調査によると、2015年には8,158件であった訪問看護事業所も2021年には12,078件となり、今後も増加が見込まれるでしょう。

▼参考資料はコチラ
公益財団法人日本訪問看護財団『訪問看護の現状とこれから2022年版』

事業所の増加に伴い、訪問看護に従事する看護師も増加していきます。しかし、訪問看護の現場は利用者さまのお宅に「お伺いする」立場であり、病院とは違ったマナーが重要です。

今回はその訪問看護におけるマナーとポイントを解説します。

服装(身だしなみ)

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看護学生の頃はもちろん、看護師として病院やクリニックで働いてからも、服装や身だしなみは重要視されており、指摘されたことがある看護師もいるのではないでしょうか。

訪問看護の現場では、さらに服装や身だしなみに注意が必要です。

訪問看護師が訪問する先の利用者さまに、不快に思われるような服装や身だしなみであってはいけません。そのため、病棟の時は指摘されなかった髪の毛の明るさや、靴や靴下の色なども、利用者さまにとっては、悪いイメージを与えてしまう可能性があります。

そのなかでも、下記の3つは最低限意識する必要があるでしょう。

  • ・髪の毛は一つにまとめ、派手な髪色は控える
  • ・ピアス、アクセサリー、装飾付きのヘアゴムは控える
  • ・服装は清潔感のあるものにする

近年では、まつ毛エクステやネイルアートをしている方も増えていますが、利用者さまから見ると、看護の現場にはふさわしくないととられ、不信感を与える場合があります。

"身だしなみ"は、"おしゃれ"とは異なります。

"身だしなみ"は、利用者さまやそのご家族、一緒に働く同僚や上司など、周りの人がどう思うのかを中心に考え、その場に合わせて装うものです。

看護の現場にふさわしい"身だしなみ"を意識することが大切です。

入室の仕方

利用者さまのお宅に上がる際には、まずは上着を着ている場合は脱いでからインターホンを押しましょう。そして家の中へ入り、玄関で靴を脱ぐ際も靴をそろえるだけではなく、靴を置いても良い場所を確認すると良いでしょう。

利用者さまがご家族と同居している場合、訪問中に他の方の出入りがあるかもしれません。そういった場合に、訪問看護師の靴が邪魔にならないようにするためにも、事前に確認しておきましょう。

名刺交換の仕方

名刺を渡す場面は、利用者さまへ渡す場合と地域連携で他職種の方へ渡す場合があります。今回はその2パターンについて解説します。

利用者さまへ名刺を渡す場合

利用者さまへ名刺を渡す場合は、まず始めに玄関でご挨拶すると同時に渡しましょう。時間が経ってから渡すのは違和感や不信感につながるため、始めに会った玄関などの場でお渡しするのが良いです。

またご家族の方が同席される場合は、利用者さま本人だけではなく、ご家族にも名刺を渡すのを忘れないようにしましょう。

多職種のスタッフへ渡す場合

訪問看護では地域連携のためにソーシャルワーカーや権利擁護団体、役所のスタッフなどに挨拶する場面があります。そういった場面にもまずは「自分は〇〇ステーションの○○です」という挨拶とともに名刺を渡しましょう。

看護師は病院やクリニック、施設などの医療機関内で働く中では、名刺交換という習慣がないことがほとんどです。

しかし企業に勤める社会人は、名刺交換を基本的なマナーとして身に付けています。訪問看護では他職種との関わりも多く、基本のビジネスマナーも見られています。そのため、基本のビジネスマナーである名刺交換についても知っておくと良いでしょう。

言葉遣いや話し方

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訪問看護の現場では、言葉遣いや話し方もよく見られています。

利用者さまやそのご家族の中には、企業で働いてきた方や一般常識としてきちんと敬語を身に付けている方も多くいらっしゃいます。地域連携で関わる多職種の方と接する際も同様です。

言葉遣いだけではなく、話し方も重要です。例えば、早口ではないか、声が小さすぎないか、反対に大きい声で、威圧感を与えるような話し方をしていないかなどです。

言葉遣いや話し方によって、相手に与える印象は大きく異なります。基本的な言葉遣いや敬語をきちんと身に付ける、自身の話し方の特徴について看護師仲間と共に修正すべき点がないか確認するなど、対策しておきましょう。

電話の応対

オンコールも含め、訪問看護では電話を受けることが多くあります。病院に勤めていても電話対応を行う場面はありますが、多くの電話は院内からのものであることが多いです。

しかし訪問看護ではほとんどの電話が外部の方からのものです。利用者さまや利用者さまのご家族、連携している病院のスタッフや、連携をとる他職種のスタッフなどから電話がかかってきます。

そのため、電話に出る際の応対には、より一層気を付けなければなりません。失礼がないように電話応対のビジネスマナーを学んでおくと良いでしょう。

退室の仕方

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訪問看護が終わって退室する際は、座っていた椅子を元に戻す、開けた部屋の扉は閉める、など元の状態に戻すように意識しましょう。

緊張していると、うっかり忘れてしまいやすい点ですが、細かい部分に気を付けていると、利用者さまに「気を遣える方」という好印象を持っていただける場合もあります。

また、玄関から外へ出る際も、「失礼します」という言葉とともに、お辞儀をしましょう。最後に丁寧な挨拶をすることで、良い印象を相手に与え、その日の訪問看護を締めくくることができます。

訪問看護で重要なポイント

前述した部分は、基本的なマナーとして重要な点です。しかしご利用者宅それぞれのルールや価値観、習慣などに合わせることが大切になってきます。訪問看護は利用者さまの生活に介入させて頂くという思考が重要です。その考え方を大前提と考えなければいけません。

例えば利用者さまが触ってはいけないと言ったものがあったら、それはその利用者さまの訪問におけるルールやマナーともいえます。

また、いつも窓を開けたままにしている利用者さんのお宅があったとします。「そろそろ寒くなってきたので、その窓を閉めませんか?」と伺った際に、「閉めなくても良い」と言われたら、無理に閉める必要はありません。その窓はそのままにしておくというのも、ある種の利用者さまのお宅でのマナーとも言えるのです。

訪問看護では、こういったさまざまな状況に応じて、臨機応変に対応していくことが重要です。

まとめ

訪問看護事業所が増加するとともに、訪問看護師の数も年々増えていきます。こうした状況のなかで、初めて訪問看護の現場で働くという看護師も増えてくるでしょう。訪問看護の考え方やルール・マナーは、病院やクリニックなどの医療現場での働き方と大きく異なるため、訪問看護師として働くうえで非常に重要です。

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