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看護師が押さえるべき患者さまとのコミュニケーション方法7選

記事掲載日:2021/07/30

看護師が押さえるべき患者さまとのコミュニケーション方法7選

看護師に求められるスキルの中でコミュニケーション能力は非常に重要です。看護師は業務上、患者さまやそのご家族をはじめ、看護師同士、医師など他職種とのコミュニケーションが欠かせません。それぞれが連携しながら、患者さまの回復をサポートしていきます。

ですが、コミュニケーション能力に対して苦手意識を持つ看護師は多いようです。

そこで今回は、患者さまとのコミュニケーションの重要性を解説するとともに、円滑にコミュニケーションをとれるコツをご紹介していきます。どの方法も明日から実践出来ることばかりなので、患者さまとコミュニケーションをとるのが苦手だという看護師はぜひ試してみてください。

患者さまとのコミュニケーションがなぜ重要なのか

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そもそも、なぜ看護師は患者さまとのコミュニケーションが必要なのでしょうか。それは、患者さまといちばん近い距離にいる看護師こそ、患者さまの状態や心情をいやかに把握できるからです。患者さまとのコミュニケーションによる、看護師が担う役割を解説していきます。

変化に気づき、不測の事態を減らす

特に入院して間もない頃は、患者さまがコミュニケーションをとるメインの相手は看護師というケースは多々あります。この時、コミュニケーションに不備があれば、患者さまから必要な情報を収集することが出来ず、日頃の変化にも気付けません。その結果、インシデント(ヒヤリハット)やアクシデント(医療事故)に発展することもあり得ます。日頃から密なコミュニケーションを取ることで、患者さまの変化や不調にも速やかに対応できるようになります。

患者さまへの理解を深める

患者さまは病気や怪我により、さまざまな悩みや不安を抱えています。もっとも近い立場である看護師がその悩みや不安を理解し、気持ちに寄り添うことで、不安を軽減させられます。その結果、患者さまは安心して治療に集中でき、さらには治療に対して意欲的になるという二次的な効果もあります。コミュニケーションは、ただ会話をするだけではなく、患者さまへの理解を深め、本当の気持ちを知るための重要な手段です。

信頼関係の構築

患者さまと適切なコミュニケーションをとることは、看護師自身の業務においても良い影響を与えます。患者さまが看護師を信頼して心を開くようになることで、結果的に治療や日常的なケアなどがスムーズになる場合もあります。

患者さまをポジティブにする

落ち込みがちな患者さまの思考をポジティブにするのもコミュニケーションの大きな役割です。笑顔や、前向きな言葉がけで患者さまの緊張を解き、落ち着きや心の平穏を提供します。

例えば、入院中の患者さまに向けて「今日は顔色良いですね!」と声掛けすることで、患者さまは「そうかぁ、顔色良いんだ!」と少しだけ前向きな気持ちになるはずです。毎日顔を合わせているからこそ変化に気付けて、それを伝えることで患者さまの気持ちを明るくするのも、看護師として大切な役割です。

患者さまとのコミュニケーションで押さえるべきポイント7選

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では、次にコミュニケーションの実践編です。現場で使える患者さまとのコミュニケーション術をご紹介していきます。

丁寧な言葉を使う

患者さまとどんなに親しい間柄であっても、「親しき仲にも礼儀あり」です。特に入院している患者さまとは毎日顔を合わせるため、フランクに会話しがちですが、患者さまと看護師の間にもある程度の距離感は必要です。患者さまを尊い、どんな時も「です」「ます」調で話すようにしましょう。

また、普段業務で当たり前に使用している医療用語なども、素人である患者さまは当然理解できません。万が一誤解を生むと、患者さまの病状や精神的負担が悪化する可能性もあります。日常の言葉に言い換えて分かりやすく具体的に伝えることも大切です。

笑顔を心がける

病気に悩んでいる患者さまにとっては、看護師の笑顔がひとつの癒しになります。たとえ会話が苦手でも、患者さまの前では明るい表情をキープしてください。心を閉ざしがちな患者さまであっても、徐々に心を開いてくれるはずです。

双方向のコミュニケーションを心がける

双方向コミュニケーションとは、お互いの感情や意思を「話す」「聞く」コミュニケーションのことを差します。特に忙しい時などは一方的に話してしまいがちですが、まずは患者さまの話にしっかりと耳を傾けるようにしましょう。患者さまの不安も軽減できますし、早期の信頼関係構築も可能になり、その後のスムーズな治療やケアにも繋がります。

患者さまの目を見て、相槌を打つ

目は感情が表れやすい部分と言われています。そのため、患者さまの目を見て話すことは、「あなたのことを思っています」という真剣さや誠実性を伝えることができます。また、この時、患者さまの言葉に相槌も打つようにしてください。相槌は、相手に「話を聞いている」と伝えるアピールのひとつです。患者さまも「ちゃんと話を聞いてくれている」と安心できますし、「この人なら信頼できる」と思ってくれるはずです。

患者さまと会話のスピードを合わせる

日本認知科学会の研究「相対発話速度が印象に及ぼす影響」によると、話すスピードが同じ人の方が、速い、遅いスピードの人よりも印象が良いという見解を示しています。つまり、患者さまが話すスピードに合わせれば、好印象や安心感を持ってもらえる可能性が高いです。時と場合により難しいケースもあるかもしれませんが、なるべく患者さまに会話のスピードを合わせてみましょう。

オープンクエスチョンを使う

オープンクエスチョンとは、「はい」「いいえ」などの答えで終わりになる質問方法(クローズドクエスチョン)ではなく、相手が自由に考えて回答できるように質問する方法を差します。

例えば患者さまに「先日の治療大変でした?」と聞けば、「はい」で会話が終了してしまいますが(クローズドクエスチョン)、「先日の治療はどうでしたか?」と聞けば、「○○でした」「それは大変でしたね、今気がかりなことはありますか?」「今の気がかりは~」と会話が広がります。

患者さまの思いを聞き出せるので、コミュニケーションを促進させることが出来ます。病状に関する質問なら治療に活かせますし、病状以外の質問でも患者さまを「知る」ことに繋がります。

患者さまの発言を自分も繰り返す

相手の発言をそのまま繰り返して答える「オウム返し」は、「相手の発言をしっかり聞いている」とアピールできる方法のひとつです。患者さまも安心感を持ち、心を開いてくれます。ただし、常に繰り返していたら「本当に理解しているのか」「話を聞いていないのでは」と逆効果になる可能性もあるので、状況に応じて使うようにしましょう。

まとめ

看護師にとって重要なコミュニケーションスキルには、正解やゴールがありません。そのため、日々患者さまとコミュニケーションをとる中で難しいと感じることも多いはずです。ですが、患者さまとのコミュニケーションは「会話」だけではありません。笑顔、話の聞き方など、出来ることから少しずつ取り組んでみてください。そのように少しずつ改善していけば、徐々にコミュニケーションがとれるようになり、仕事もさらに楽しくなるはずです。

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