看護師がキャリアアップするには?取得すべき資格・研修を解説

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看護師がキャリアアップするには?取得すべき資格・研修を解説

記事掲載日:2025/09/04

看護師がキャリアアップするには?取得すべき資格・研修を解説

「看護師のキャリアアップにはどんな道があるのだろう?」と考える看護師の方も多いのではないでしょうか?キャリアアップを目指すことで、自分自身のスキル向上や収入アップにもつながります。今回は、看護師のキャリアアップについて、職種の選択肢や取得すべき資格について詳しく紹介します。

看護師の主なキャリアアップ方法4つ

看護師のキャリアアップには上記のような方法があります。ここでは、それぞれのキャリアアップ方法についての概要や過程を詳しく解説します。

スペシャリストを目指す

看護師がキャリアアップする1つ目の選択肢は、特定の分野について深い知識やスキルをもつ看護のスペシャリストになることです。具体的には、専門看護師認定看護師が該当するでしょう。専門看護師や認定看護師になるためには、特定の資格が必要です。

専門看護師

専門看護分野 がん看護・精神看護・地域看護・老人看護・小児看護・母性看護・慢性疾患看護・急性/重症患者看護・感染症看護・家族支援・在宅看護・遺伝看護・災害看護・放射線看護
資格の取得要件 1.看護師免許を取得していること
2.看護系大学院修士課程修了者で日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位を取得していること
3.実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修であること
4.認定審査に合格すること
資格の更新 5年ごと

専門看護師は、日本看護協会が認定する資格で、特定の専門分野で高い知識や技術を保有している看護師であることを示します。主な役割は、特定の分野で「看護の実践・相談・看護に携わる人の調整・倫理問題の解決・教育・研究活動」を行うことです。

専門分野は上記の14種類で、取得には看護師免許に加え、大学院修士課程の修了や実務経験が必要です。5年ごとの資格更新があり、常にスキルアップに取り組む姿勢が求められます。

【こんな人におすすめ!】

  • 看護師としての専門性を高めたい人
  • 看護師として活躍の場を広げたい人
  • 給料をアップさせたい人
  • 認定看護師

    認定看護分野 クリティカルケア・緩和ケア・がん薬物療法看護・在宅ケア・生殖看護・腎不全看護・摂食嚥下障害看護・小児プライマリケア・脳卒中看護・呼吸器疾患看護・心不全看護・皮膚/排泄ケア・感染管理・糖尿病看護・新生児集中ケア・手術看護・乳がん看護・認知症看護・がん放射線療法看護
    資格の取得要件 1.看護師免許を取得していること
    2.看護師免許取得後、通算5年以上の実務研修(うち3年以上は認定看護分野)をしていること
    3.認定看護師教育機関への入学・修了していること
    4.認定看護師認定審査に合格していること
    資格の更新 5年ごと

    認定看護師も日本看護協会が認定する資格で、特定の分野において、熟練の看護技術や知識を持っていると認められた看護師のことです。取得には5年以上の実務研修に加え、所定の教育機関で学ぶ必要があります。

    現行のA過程認定看護師(21分野)は2029年度までの認定審査で終了し、2021年度からのB過程認定看護師(特定認定看護師)制度へ移行しています。こちらも更新は5年ごとで、常に最新の知識と技術に精通することが求められます。

    【こんな人におすすめ】

  • 看護師としての技術を磨きたい人
  • 看護師としての専門性を高めたい人
  • 特定行為に興味がある人
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    ジェネラリストを目指す

    看護師のキャリアアップの選択肢として、ジェネラリストになる方法もあります。

    ジェネラリストとは、現場に応じて知識・技術・能力を発揮できる看護師を指します。一つの分野や領域、働く形態にとらわれないため、幅広い分野で活躍できるのが特徴です。「ジェネラリスト」にあたる職種があるわけではないため、特定の資格はありません。

    ジェネラリストは、最善の看護を提供するために、常に知識・技術・態度を向上させ、根拠に基づく看護を行うことが求められます。

    【こんな人におすすめ!】

  • 幅広い分野でレベルの高い看護を提供できる看護師になりたい人
  • 柔軟性があり、臨機応変に対応できる人
  • 総合内科や救急医療、在宅医療、高齢者施設での勤務を考えている人
  • マネジメント職に就く

    役職 こんな人におすすめ
    看護部長 ・看護以外にも幅広い知識をもち、マネジメントに優れている人
    看護師長 ・リーダーシップがありスタッフのマネジメントに優れている人
    ・責任感が強い人
    看護主任 ・コミュニケーション能力に優れ、看護師長・後輩看護師どちらともうまくやれる人
    ・ストレスに強い人

    看護師としてキャリアアップするには、管理職になるという選択肢もあります。看護師の場合は、看護部長や看護師長、看護主任といった役職が管理職に該当します。

    看護管理職には、質の高い看護を提供できるよう組織を管理する力や、危機管理能力、新しいことに挑戦する力などが求められます。また、質の高い看護を提供するために、スタッフの教育や指導、業務改善の推進なども大切な役割です。

    看護部長

    看護部長は、看護部のトップとして看護師全体のマネジメントを担当する役割を担います。最近では、看護部長と副院長を兼任するケースが増えており、幅広い視野と経験が必要です。

    医師や他の職種と協力して良質な医療を提供する体制を整えることも、看護部長の大事な役割といえます。

    看護師長

    看護師長は、病棟における看護師のリーダー的存在です。日々の業務や看護の質の向上、患者さまのニーズに合わせた看護の提供など、多岐にわたる業務を担当します。また、スタッフの教育や指導、業務改善の推進なども、看護師長の大切な役割の一つです。

    看護主任

    看護主任は、看護業務全般の管理を行い、看護師長の補佐をする役割を担います。現場で働き現場のことをよく把握している管理職であるため、看護師長とスタッフの間を取り持つことも必要です。看護師長とともに、業務改善や看護の質の向上に取り組み、スタッフの教育や指導なども担当します。

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    看護師経験を他の分野・領域で活かす

  • 看護教員
  • 一般企業の従業員
  • 国際看護師 など
  • 看護師のキャリアアップには、看護教員や一般企業への転職といった選択肢もあります。看護教員は、これまでの実務経験を活かし、看護学生に知識や技術を教える仕事です。一般企業への転職は難易度がやや高めですが、医療系の職種であれば経験を活かしやすいでしょう。

    また、海外移住やボランティアを通じて国際的に活躍する道もあります。特別な資格は不要ですが、英語力は必須です。異文化に触れることで人間的成長にもつながります。

    【こんな人におすすめ!】

  • 医療機関での勤務にこだわらず、幅広い分野でキャリアアップしたい人
  • コミュニケーション力や語学力を生かして活躍したい人
  • 柔軟に物ごとを考えられ、適応力の高い人
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    看護師がキャリアアップを目指すメリット

    看護師がキャリアアップを目指すメリット
  • 給料のアップにつながる
  • スキルアップにつながる
  • 任せてもらえる仕事が増える
  • 転職や昇進に有利になる
  • 看護師がキャリアアップを目指すことには、さまざまなメリットがあります。たとえば、資格手当の支給や管理職への昇進によって収入アップが期待でき、責任ある仕事を任せてもらえるチャンスも広がります。

    また、資格取得に向けた学習を通じてスキルが向上し、その努力が職場で評価されれば、さらに活躍の場が広がる可能性もあります。キャリアアップによって得た知識や資格は、転職や昇進時の強力なアピール材料にもなります。

    看護師がキャリアアップを目指す4つのステップ

    看護師がキャリアアップを目指す4つのステップ

    看護師がキャリアアップを目指すには、一般的には以下の4つのステップがあります。仕事が忙しい中で時間をつくるのは大変かもしれませんが、少しずつ進めていきましょう。

    ①現状を把握して将来像やキャリアプランを考える

    まずは、今自分が持っているスキルや知識・技術を把握することが大切です。そのうえで、将来どのような看護師として働きたいのか、どんな目標があるか、など自分が理想とする将来像やキャリアプランを具体的に考えてみましょう

    また、ワークライフバランスや収入などの自分にとって重要な要素を考慮しながら、キャリアプランを立てることも重要です。

    【経験年数別】キャリアプラン設計で重視すべきポイント

    経験年数 重視すべきこと
    1〜2年目 まずは基礎的な知識と技術を身につけることを優先し、積極的に経験を積む
    3年目〜 リーダー業務や新人看護師の教育にあたりつつ、自分の強みや興味がある分野から進みたい道を本格的に考えていく

    ②目標達成に必要な情報を集める

    次に、①で考えた将来像の実現に向けて、どのようにキャリアアップするかを考えることが大切です。必要な資格やスキル、受けるべき研修は何か、などの情報収集を行います。

    看護師の職場は多種多様であるため、さまざまな情報があります。キャリアプランがまだ確立していない場合でも、情報収集することで選択肢の幅が広がり、キャリアアップに役立つでしょう。

    ③自己学習や研修・セミナーで学ぶ

    キャリアアップに必要な情報が集まったら、必要な知識やスキルを習得できるように学習を始めましょう。自己学習の方法としては、仕事の合間にe-ラーニングをしたり、研修やセミナーを受講したりするのがおすすめです。研修やセミナー参加を通じて、自分のキャリアプランの改善や足りないスキル・知識を補えるでしょう。

    ④プラスアルファの資格を取得する

    看護師のキャリアアップには、資格取得が効果的です。資格は自分のスキルを示してくれるものであり強みにもなります。キャリアアップに必要な資格はもちろんですが、必須でなくても役立つ資格もあるので、目的に合わせて取得するようにしましょう。

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    看護師のキャリアアップにつながる研修・資格

    おすすめの研修 おすすめの資格
    ・特定行為研修
    ・病院ごとに開かれる研修
    ・認定看護管理者®️
    ・保健師
    ・助産師
    ・ケアマネジャー
    ・臨床心理士
    ・福祉住環境コーディネーター

    看護師のキャリアアップにつながるおすすめの研修や資格は次のようなものです。興味がある分野に合わせて、取得を検討してみるとよいでしょう。

    特定行為研修

    看護師が特定の行為を行う場合に必要な実践的理解力や、高度かつ専門的な技能の向上などを図るために受ける研修を、特定行為研修といいます。特定行為研修を受講することで、看護師は特定の処置を行えるようになります。具体的な研修内容は、人工呼吸器の取り扱いや、胃ろうの管理などです。

    病院ごとに開かれる研修

    看護師が所属する病院によっては、独自に研修会や勉強会が開かれることがあります。開催有無や内容は施設ごとに異なりますが、参加することで看護師としての知識を深めたり、学び直したりすることが可能です。

    病院の研修は、最新の情報や技術を習得するよい機会でもあります。

    認定看護管理者®️

    資格の取得要件 ・日本の看護師免許を有すること
    ・実務経験が通算5年以上あること
    ・実務経験のうち3年以上は看護師長相当以上の看護管理の経験があること
    ・認定看護管理者教育課程サードレベルを修了している、または看護管理に関する学問領域の修士以上の学位を取得している者
    ・認定看護管理者認定審査に合格する
    こんな人におすすめ 看護管理のエキスパートとして活躍したい人

    認定看護管理者とは、日本看護協会が認定する資格で、看護現場の管理者として、優れた資質を持ち、創造的に組織を発展させられる能力を有する人に与えられる資格です。

    認定看護管理者はマネジメントのエキスパートとして、看護師にとって働きやすい環境を整えたり、人材育成を行ったりすることが主な役割です。

    保健師

    資格の取得要件 看護師国家試験と保健師国家試験の両方に合格している者
    こんな人におすすめ 病気の予防や早期発見、健康増進に興味がある人

    保健師は、すべての地域住民の保健指導や健康管理などを行う役割をします。これから病気になりそうな人に予防方法を指導したり、健康な人が健康でいられるように支援したりするのが特徴です。

    働く場所は、地域の行政機関(保健所や役所・役場)、企業、小中学校などがあります。企業で働く保健師は社員のメンタルヘルス対策や、保健指導を行います。

    保健師になるには、指定の学校で1年以上必要な学科を修めてから、保健師国家試験に合格する必要があります。

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    看護師から「保健師への転職」|就業先や必要資格・スキルを知ろう

    助産師

    資格の取得要件 ・女性であること
    ・看護師国家試験と助産師国家試験の両方に合格している者
    こんな人におすすめ 女性のさまざまなライフサイクルに思いやりをもって寄り添える人

    助産師は、女性の人生を支える専門家です。出産の介助や妊婦から産後までの母子の保健指導、育児指導、性教育などを行います。助産師になるには、指定の学校で1年以上必要な学科を修めてから、助産師国家試験に合格する必要があります。

    ケアマネジャー

    資格の取得要件 (看護師免許を保有している場合)
    ・国家資格に基づく業務の実務経験が通算5年以上であり、従事した日数が900日以上である
    ・介護支援専門員実務研修受講試験に合格後、実務研修終了後、各都道府県に登録する
    こんな人におすすめ 介護・福祉の方面に活躍の場を広げたい人

    ケアマネジャーとは、介護を必要とする人の個別ニーズに応じたサービスを提供するための分析や、介護サービス計画書の作成をする仕事です。介護の視点を持つことで、アセスメント能力の向上や退院支援の幅が広がるため、医療の知識のみならず、介護・福祉の専門性を高めたい場合におすすめです。

    臨床心理士

    資格の取得要件 ・指定大学院(1種・2種)を修了し、所定の条件を充足している者
    ・臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了した者 など
    こんな人におすすめ 心理領域の支援に興味がある人

    臨床心理士は、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の「こころ」の問題にアプローチする専門職です。主な仕事内容は、心理テストなどを用いた心理査定技法や面接査定、面接援助技法を用いた支援などで、それぞれの技法に精通していることが求められます。患者さまの心理領域により深く携わりたいと考える看護師におすすめの資格です。

    福祉住環境コーディネーター

    資格の取得要件 学歴・年齢・性別・国籍による制限はありません
    こんな人におすすめ 介護や在宅医療に興味がある人

    福祉住環境コーディネーターとは、高齢者の方などにとって住みやすい環境を提案するアドバイザーです。医療・福祉・建築について体系的で幅広い知識を身につけ、適切な住宅改修プランを提示したり、福祉用具や諸施策情報などについてもアドバイスしたりします。医療と介護の連携に役立てたい方や、介護の分野にも携わりたい看護師におすすめです。

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    看護師のキャリアアップに関するQ&A

    看護師にはさまざまなキャリアアップ方法があります。ここでは、看護師のキャリアアップについてよくある質問をまとめています。

    Q.キャリアプラン・キャリアパスの意味は?

    A.キャリアプランとは「自分で考える職業人生の計画」のことです。キャリアパスとは、主に「会社側が従業員に対して提示するキャリアのステップ」のことをいいます。

    キャリアプランは、自分(看護師)が将来どのような仕事をしたいのか、そのために何が必要なのかを考えることです。自分の理想像と不足しているスキルや知識を把握して、プランを立てます。

    一方、キャリアパスは、病院などの雇用者が提示するその組織内での従業員(看護師)のキャリアの道筋のことです。

    Q.キャリアアップしやすい職場の特徴は?

    A.キャリアアップ支援の体制が充実していることが多いといえます。

    看護師がキャリアアップしやすい環境としては、教育制度が整備されている職場や、スキルアップのための研修を積極的に開催している職場があげられます。

    たとえば、認定看護師や専門看護師の取得を支援するための制度など、キャリアアップに向けてのサポート体制が整っている職場も、キャリアアップを目指す看護師にとっては魅力的な環境といえます。

    Q.今の職場でキャリアアップが難しい場合は?

    A.看護師として転職を検討するのもおすすめです。

    看護師としてキャリアアップしたいものの、現在の職場では難しい場合は、転職がおすすめです。転職によって、教育制度が整備された職場やスキルアップのための研修が積極的に開催される職場に出会えるかもしれません。自分の将来のキャリアを見据えて、必要があれば転職を検討することも一つの方法です。

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    紹介したように、看護師がキャリアアップを目指す道はさまざまです。「何から始めればいいのかわからない」と感じる人も少なくありません。まずは、自分の現在の状況を整理し、将来どんな看護師になりたいのかを考えてみましょう。理想の姿を明確にすることで、必要な情報を集め、自己研鑽に取り組めます。それが、夢を実現しチャンスをつかむための第一歩になります。

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