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看護師の管理職、その仕事内容や給与水準は? 師長など役職別に解説

記事掲載日:2021/12/27

看護師の管理職、その仕事内容や給与水準は? 師長など役職別に解説

一般的な事業会社と同様に、看護業界においてもさまざまな役職が存在します。現在、看護師として業務に就いている方のなかにも、将来的に管理職を目指したいと考えている人はきっと多いのではないでしょうか。そこで今回の記事では、看護師の管理職に言及。それぞれにどのような役割があり、どのような業務を行っているのか。また、給与・キャリア形成について、幅広く解説していきます。

看護管理職(役職)の種類や役割

看護管理職(役職)の種類や役割

看護業界には、大きく分けて「看護主任」「看護師長」「看護部長」、この三つの役職が存在します。一般企業と同様に、これらの役職は、各スタッフのマネジメントや、経営への参画、決裁業務など、さまざまな役割や仕事を担います。

上記の役職は病棟や診療科目ごとにそれぞれ設置されるのが基本ですが、医療施設の規模などによっては、主任がおらず師長と部長のみ、また部長のみのケースもみられます。

キャリアのステップ順にそれぞれのポジションを並べると、主任、師長、部長の順番に役職が上がり、師長は主任としての勤務、そして部長は師長としての勤務経験を経て、ステップアップするのが基本です。

また、三つの役職を一般企業のものに当てはめて考えると、主任はプレイングマネージャー、師長・部長は管理職という位置づけにあると言えるでしょう。

それでは、看護主任・師長・部長それぞれの具体的な仕事内容、給与水準、キャリア形成などについて、詳しく解説していきます。

「看護主任」の役割や仕事内容

「看護主任」の役割や仕事内容

看護主任の主な役割としては、師長の補佐や、業務に就いている各看護師のマネジメント、教育などがあげられます(師長のタスクについては後述)。看護師としての医療行為が主任のメイン業務ですが、その傍らで上長のサポートやマネジメント業務を行うため、看護主任はプレイングマネージャーとしての位置づけです。では、具体的な看護主任としての仕事には、どのようなものがあるのでしょうか。

まず一つ目にあげた、師長の補佐。これは文字通り、看護師長をサポートするという仕事です。たとえば、様々な決断を迫られる師長は、その判断材料として、医療現場の状況や各看護師の声などを吸い上げなければなりません。その潤滑油として機能するのが、正に看護主任ということです。

とくに看護主任はプレイングマネージャーとしての側面を持つ以上、患者さまの状態や、看護師の稼働状況、医療実態などについて、現場レベルの情報収集を逐一行わなければなりません。そのほか、労務面に関する各看護師の要望を聞いたり、勤務シフトを作成したり、ケアの指導を行ったりするなど、様々な業務を実施します。

なお、看護主任の年齢層は20~40代と幅広く、主任になるための試験や資格はありません。また勤務先にもよりますが、主任になると「役職手当」や「管理当直手当」がつくケースが多く、報酬面での待遇向上が望めます(金額については勤務先に依拠します)。

「看護師長」の役割や仕事内容

「看護師長」の役割や仕事内容

看護師長の役割は、一般企業で言うところの"中間管理職"にあたります。主な仕事内容としては、看護業務の指導や、勤務シフトの作成、包括的な看護業務の把握、看護主任とのコミュニケーションなど。そのほか、"経営的な業務"にも一部参画します。なお、この経営業務とは、入院患者さま受け入れ方針の策定や、スタッフ拡充の判断、また担当病棟や診療科目の業務計画立案など、多岐にわたります。もちろん、これらが医療施設によって異なることは言うまでもありません。

そもそも小規模な医療機関では看護主任の役職が設置されておらず、主任の役割や仕事を師長が担うケースもみられます。しかし一般的に看護師長の仕事は、これら管理職としてのタスクがメインです。

そして看護師長の役職に就くと、主任と同様、様々な名目の役職手当がつくことになります。勤務先の給与形態にもよりますが、主任の役職手当に付与される金額よりも大きくなるケースが一般的です。

なお、看護師長へステップアップするための具体的な試験はなく、主任の経験や各スタッフによる推薦状況などを鑑みて、看護部長らが師長を決定。主に40~50代の看護師が、師長としてのキャリアをスタートさせます。

「看護部長」の役割や仕事内容

「看護部長」の役割や仕事内容

看護部長は主に、業務計画や、施設運営への参画、また経営と労働間の各種調整業務などを実施します。また、担当する病棟(診療科)の"長"として、様々な決裁業務を行います。具体的な業務計画には、担当病棟の看護の質を向上させるための計画立案が、また施設運営に関する参画としては、ベッドコントロールといった病棟の編成などがあげられます。

医療施設の運営が看護部長のメイン業務になることから、院長や事務方との会議、計画立案や資料作成など、デスクワークが中心。主任や師長とは異なり、看護業務は行いません。

なお、看護部長は"しかるべき責任"を負ったり、知識や技術、経験などが求められたりするため、比較的年齢が高い50代以上の看護師がその役目を担います。また、これにともない、さまざまな役職手当がつくことになります。

役職別にみる看護師の給与について

役職別にみる看護師の給与について

最後に、看護師の役職別に見た給与水準について解説します。少し古いデータになりますが、公益社団法人「日本看護協会」が実施した「病院勤務の看護職の賃金に関する調査 報告書」を見ると、平均的な(月額)基本給などは、以下のようになります。

役職 基本給月額(平均)
看護主任 32万7,143 円
看護師長 37万949円
看護部長(専任) 42万7,573円

なお、上記の調査結果によれば、手当などを含めた看護師長の給料平均は42万5,020円。また、看護師長や副看護師長、主任などの中間管理職の給料平均は、43万1,338円となります。

これらの結果は、もちろんあくまで平均であり、実態は医療施設などによって大きく異なります。昨今の医療従事者への需要増加にともない、実際は、上記の金額よりも増額している可能性も否定できません。

▼参考資料はコチラ
公益社団法人「日本看護協会」│病院勤務の看護職の賃金に関する調査 報告書

まとめ

まとめ

看護師のさまざまな役職について理解は深まりましたでしょうか。今回の記事では、看護主任・師長・部長それぞれの役割や仕事内容、給与について解説しましたが、実際は医療機関によって大きく異なるのが現状です。

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