転職

看護師の転職で併願は禁止?単願とのメリット・デメリット、面接の回答例を紹介

記事掲載日:2020/08/31

看護師の転職で併願は禁止?単願とのメリット・デメリット、面接の回答例を紹介

看護師の転職活動では、単願ではなく複数の病院やクリニックの選考を併願する場合があります。

併願で転職を進めている方の悩みとして「志望先は絞るべきか?」「併願での転職活動を面接で正直に伝えるべき?」「併願によるマイナス評価が心配」といった声を多く耳にします。

結論として「併願での応募」は問題ありません。もちろん、面接での減点対象になることもございません。これは新卒時の就職活動も同様です。ただし、気になっている志望先全てに併願した方がいいわけではありません。単願・併願にはそれぞれメリット・デメリットがあります。

この記事では、面接で他の併願先の選考状況について聞かれた際の回答のポイントと、実際の回答例を紹介します。単願と比較したメリット・デメリットも把握し、ご自身に合った転職活動を進めていきましょう。

併願の禁止はなし!正直に答えよう

基本的に、看護師の転職活動でいくつかの病院やクリニックを併願していても、面接でマイナス評価を受けることはありません。面接で併願について聞かれた場合、隠さず正直に答えましょう。

看護師の転職で併願は当たり前

看護師が転職活動を行うにあたって、複数の病院やクリニックを併願するのは珍しいことではありません。単願で選考に落ちてしまったり、内定はもらえたものの病院の雰囲気や給与等の諸条件が希望に合わなかった場合、また一から転職活動をやり直す必要があります。

病院やクリニック側もそのことは承知しているので、面接で他社を併願していると伝えたからといって、マイナス評価になるようなことはありません。

他で内定をもらえているとプラス評価になる場合も

併願している他の病院やクリニックで既に内定をもらえていることを面接で伝えると、プラスの評価をもらえる場合もあります。他で内定をもらえていることは、転職市場で高く評価される人材であるという1つの指標になるからです。

看護師はただでさえ人手不足な状況です。病院側も優秀な人材の獲得に向け、他の病院に取られないように、既に内定を持っている求職者の待遇を良くするケースもあります。

単額と併願、それぞれのメリット・デメリット

単願 併願
メリット ・応募先に好印象
・スケジュール管理が容易
・比較検討しやすい
・面接に慣れる
・転職活動が短い
デメリット ・比較検討しづらい
・転職活動が長期化する
・スケジュール管理が煩雑化
・面接先に対して説得力が不足

効率のいい転職活動は、複数応募し不採用の可能性も加味した併願でしょう。一方でスケジュール管理が煩雑化するなどの注意点もあります。

応募先を1つに絞る単願と比較しながら、メリット・デメリットをご紹介します。

「単願」のメリット・デメリット

【メリット】

  • ・応募先に好印象
  • ・スケジュール管理が容易

【デメリット】

  • ・応募先の選定基準、比較検討がしづらい
  • ・転職活動が長期化する

単願の場合、応募先の面接などで「本命はここだけ、他の応募はなし」と転職の熱量をアピールできるため、好印象を与えられます。また面接日などスケジュール管理が容易であり、働きながらでも無理なく転職活動を進行できます。

ただし、給料や制度など定量面で把握できる部分での優劣は比較できますが、応募した志望先の職場環境が本当に自信に合っているのか、人間関係・雰囲気などを他の転職候補と比較できない点は大きなデメリットです。また転職活動は現在の職場での業務状況や転居など適切なタイミングでの進行が求められるため、不採用時のリスクヘッジができない単願は転職活動が長期化する恐れがあります。

「併願」のメリット・デメリット

【メリット】

  • ・比較検討しやすい
  • ・面接に慣れる
  • ・転職活動が短い

【デメリット】

  • ・スケジュール管理が煩雑化
  • ・面接先に対して説得力が不足

併願の一番のメリットは転職先を比較検討できる点です。特に転職理由が職場の「人間関係・雰囲気」といった定性面が強い場合、実際に複数の志望先にて面接や職場見学をした上で判断すべきでしょう。

複数回面接することで、面接のルールや傾向を把握でき徐々に場慣れし事前準備の要領も掴めます。また転職期間が決まっている場合、集中的に転職活動を行う併願の方が、単願に比べ短期間で採用される可能性が上がります。

デメリットはメリットの裏返しです。転職活動が集中することでスケジュールが煩雑化し、心身共に疲弊する恐れがあります。情報収集・履歴書の作成など事前準備も単願に比べ多いため、併願の場合は志望先を2〜3箇所に絞り進めましょう。

転職活動はタイミングが限られるほか、確実に成功する保証はありません。「ここに絶対に転職したい」と志望先が決まっている方であれば問題ありませんが、一定の条件を軸に活動する場合は、短期間かつ比較検討しながら進行できる「併願」での転職活動をおすすめします。

複数の病院を併願している場合の回答例

併願自体はOKといっても、面接官への伝え方は工夫しましょう。例えば面接時に「御院は第一志望ではありませんが、リスク管理のために受けさせていただいております」と正直すぎる回答は返って面接官からの印象は悪くしかねません。

併願について面接で聞かれた場合にどのように答えればいいのか、ポイントと具体的な回答例を紹介します。

併願について答える際の2つのポイント

1つ目のポイントは、併願の理由として説得力のある回答をすることです。「職場選びは人生を左右する問題だと考えているので、複数社を受けて希望に合う就職先を見つけたい」「病院を退職して転職活動を行っているので、空白期間を短くしたい」など、本気で転職活動に取り組んでいることが伝わる理由が良いでしょう。

2つ目のポイントは、面接を受けている病院・クリニックの中でも、志望度が高いということをしっかり伝えることです。業務内容や選考を受けた印象などから転職先として魅力を感じているといったことを伝え、滑り止めではなく、本気で働きたいと思っていることを印象づけましょう。

面接での回答例

それでは上記のポイントを踏まえ、実際に面接で併願しているかどうかを聞かれた場合の回答例を紹介します。

【回答例】

「現在3つの病院を併願して選考を受けている状況です。

今回は前の病院を既に退職して転職活動に望んでいるため、なるべく転職期間は短くしたいと考えています。また、病院の方の人柄や職場の雰囲気は求人情報からだけではわからないため、なるべく多く面接を受けたいという理由からも、併願で転職活動を行っています。

その中でも御院は業務内容も希望にマッチし、本日面接を行っていただく中でお伺いした内容にも魅力を感じております。現在他院での選考も進んでおり、一部では内定もいただき、返答を待っていただいている状況ですが、ご縁をいただけましたら、ぜひ御院の一員として働きたいと強く志望しています。」

転職活動で併願する際のポイントと注意点

最後に、併願で転職活動を行う際の注意点を紹介します。

併願して受ける病院の数はある程度絞る

いくら併願OKだからといって、多くの病院やクリニックを受けすぎるのは控えましょう。スケジュール管理が難しくなる上、受ける数だけ履歴書の用意や面接の準備、病院の研究などが必要です。

働きながら転職活動を行うのであれば2~3つ、退職して転職活動を行うのであれば4~5程度の併願を目安に、ひとつひとつの選考対策がおろそかにならないよう進行しましょう。

病院見学・施設見学は行うべき

面接後、多くの場合、病院・施設見学ができます。患者としての来院も可能ですが、患者視点での環境と、ナースステーションなどの内部環境は異なります。「患者から人気の病院」と人気がある場所でも、働き手視点で「働きやすい環境」とは限らないでしょう。また「看護師同士の関係」「病院周辺の環境」「患者さまの様子」などは、実際に職場の裏側に足を運ばなければ実感できない要素です。

職場見学は転職サイト経由、メール・電話での申込みが一般的です。事前に確認しておきましょう。また見学当日は「看護師の平均年齢・勉強会の頻度・福利厚生・働く看護師の生の声」など事前の情報収集では把握できない点を確認・質問すると、より鮮明に比較検討しやすくなります。

他業種を志望する際には注意が必要

看護師資格を持っていれば、病院以外にも企業の医務室や高齢者向けの施設、保育園や検診センターなど、様々な職場で働くことができます。

ただし、併願について聞かれた場合に、併願先が受けている病院と業種が異なる場合には注意が必要です。全く違う業種を受けているということは、志望度が低いと受け取られかねないためです。

説得力のある理由を用意できず、「単純に他業種も興味があるから」といった理由であるとしたら、併願には触れずに伏せておくことをおすすめします。

内定辞退の際には失礼のないようにする

併願で転職活動を進め、複数の内定をもらえた場合には、本命以外の内定は辞退しなければなりません。その際には、失礼のない様にしっかりと内定辞退の連絡をしましょう。

基本的には電話で内定辞退の連絡をするのが一般的ですが、担当者が不在であったり、電話での連絡が難しかったりする場合には、メールでの連絡でも構いません。内定辞退の連絡の際には、内定に対する感謝と、辞退することに対するお詫びを伝えるようにしましょう。

絶対にやってはいけないのは、何の連絡もせずに内定をすっぽかすことです。社会人としてあまりにも失礼な行為であり、また、採用担当の方にも大きな迷惑をかけることになります。辞退する後ろめたさから連絡がしにくいという方もいるようですが、必ず内定辞退の連絡を内定から1週間を目安に行いましょう。

まとめ

看護師の転職活動で複数の病院やクリニックを併願することは全く問題ありません。面接で尋ねられた場合には、隠さずに正直に回答すると良いでしょう。むしろ転職に対する本気度が伝わりますし、内定を獲得している場合には、優秀な人材とみなされるケースもあります。

注意点としては、他業種も併願している場合には、転職の軸が無く、それほど志望度が高くないのではないかと思われかねないことです。その様な場合には、説得力のある理由を用意できないのであれば、併願であることを伏せておくのもひとつの手でしょう。

記事の中では実際の回答例も紹介しましたので、併願で転職活動を行う方は、ぜひ参考にしてみてください。

株式会社メディカルリソースが運営する看護師の求人・転職サービス『ナースステップ 』では、様々な看護師のキャリアに関する悩みや相談について、専門の医療コンサルタントが多くの看護師を支援。様々な求人、給与などに関する情報を、求職者に対してお伝えしています。看護師の職場事情や転職に関する情報については、『お役立ちコンテンツ』として定期的に情報を配信。是非これを機会に、転職サービスの利用を検討されてはいかがでしょうか。