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不妊カウンセラーになるには?果たす役割やメリット、今後の需要について

記事掲載日:2022/02/24

不妊カウンセラーになるには?果たす役割やメリット、今後の需要について

妊娠・出産を望みながらも不妊状態にある方々が受ける不妊治療。近年、女性のライフスタイル変化に伴う晩婚化の影響で不妊治療の件数が増加しています。

以前より普及しつつある不妊治療ですが、患者さまの年齢や持病、不妊の原因などによって治療方法も違い、身体的・精神的な負担が大きい場合も多いです。周囲に悩みを話しづらく、一人で抱え込んでしまう患者さまも少なくありません。

そんな不妊についての悩みを解決するのが不妊カウンセラーです。現在、1,121名の不妊カウンセラーが全国各地で活躍しています。

今回は不妊カウンセラーについて、概要や試験内容や役割、今後の需要などを詳しく確認していきましょう。

▼参考資料はコチラ
日本不妊カウンセリング学会 「 不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター名簿」

不妊カウンセラーとは

不妊カウンセラーとは

不妊カウンセラーは、特定非営利活動法人日本不妊カウンセリング学会が主催している認定資格です。不妊や不妊治療で悩む人々に情報提供を行い、相談者に最も適した治療を選択できるようカウンセリングなどを行います。

不妊についての悩みを持つ相談者は女性だけではなく、パートナーである男性の場合もあります。悩みの内容についても、治療方法の種類・費用・期間、公的助成金や仕事との両立、今後の治療方針や精神的な不安まで様々です。

知識面・精神面双方から不妊に悩む方々をサポートできるよう、妊娠や出産、不妊についての幅広い知識、カウンセリングの技法の習得が必要になります。

妊娠・出産・不妊に関連する仕事に従事している方が望ましいとされているため、産婦人科や専門クリニックで働く看護師にぴったりの資格でしょう。

不妊カウンセラーの役割は?

不妊カウンセラーの役割は?

不妊カウンセラーの役割は、不妊に悩む相談者の気持ちに寄り添い、最適な選択のためのサポートをすることです。医療従事者とは違った視点から不妊に悩む方々を支援します。

不妊カップルが抱える問題の解決や相談者自身の考えの整理のためのカウンセリング、他職種との連携なども重要な役割です。

妊娠や出産、不妊治療についての最新情報を分かりやすく説明し、場合によっては治療の中止という選択を促す場合もあります。

不妊カウンセラーを取得するメリット

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看護師が不妊カウンセラーを取得するメリットはいくつかあります。 代表的なものは以下の通りです。

スキルアップができる

不妊カウンセラーの資格取得のためには、生殖医療についての知識やカウンセリングの技法を身に着け、試験に合格する必要があります。 看護師として働くだけでは得られない知識やスキルを習得して、看護師としてスキルアップできるでしょう。

病院・クリニックで重宝される

看護師資格と不妊カウンセラーの資格、両方を取得している人は多くはありません。看護師業務とカウンセリング業務どちらもこなせる希少な人材として病院やクリニックで活躍できるでしょう。

また、不妊カウンセラーとしてカウンセリングを行うと給与が上がる可能性もあります。

患者さまからの信頼度が上がる

不妊カウンセラーの取得には、カウンセリングの基礎知識と技法の習得が必要です。カウンセリングのスキルが上達すると、患者さまの気持ちに寄り添った対応ができるようになり、信頼されるようになります。

患者さまにとって安心できる、悩みを相談しやすい存在となれるでしょう。

不妊カウンセラーになるには?

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不妊カウンセラーになるには、日本不妊カウンセリング学会が設定する「到達目標」のレベルに到達し、試験に合格して認定を受ける必要があります。


【到達目標(※)】
・生殖医療に関する基礎的知識を有している
・evidenceに基づく不妊治療の基礎知識を有している
・不妊患者の心理・社会的問題を理解している
・不妊カップルの自立的決定を促すことができる
・Patient Centered Care(患者中心)の考えを理解し応用できる
・情報の適切な伝え方を知っており、それを応用できる
・カウンセリングに関する基礎的知識を有しており、それを応用できる


まずは年2回開催される養成講座に参加し、以下の到達目標のクリア及び試験の合格を目指しましょう。試験は筆記試験と面接試験で、12月~3月に大阪、福岡、仙台、東京で実施されます。認定費用は15,000円です。

面接試験に不合格の場合は同じ年度内で再受験ができませんが、筆記試験は不合格の場合でも追加費用なしで同年度内2回まで受験できます。

2021年度の試験については新型コロナウイルス感染拡大の影響で東京のみの開催、面接試験については記述形式に変更になっているため、最新情報を確認すると良いでしょう。

また、試験合格に加え以下の認定要件を満たすと不妊カウンセラーとして認定されます。


【認定の条件(※)】
・上記到達目標に到達していること
・不妊カウンセラー養成講座を3回以上受講していること
・申請時にNPO法人日本不妊カウンセリング学会の会員であること
・初回受講より5年以内に認定を受けること


認定を受けて不妊カウンセラーとなった後も5年ごとに認定の更新が必要とるため、日々の知識や技法のアップデートが重要になるでしょう。

認定の更新のための条件は以下の通りです。


【認定更新の条件(※)】
下記の点数を合計30pt以上取得していること
・日本不妊カウンセリング学会への出席 10pt【5年間で1回は参加必須】
・日本不妊カウンセリング学会への出席・発表(筆頭:15pt連名:10pt)
・日本不妊カウンセリング学会での発表(学会出席しない連名者) 5p
・不妊カウンセラー養成講座への参加 15pt
・日本不妊カウンセリング学会主催講座への参加【基礎セミナー除外】 10pt
・日本不妊カウンセリング学会誌に論文掲載(筆頭:20pt、連名:10pt)
・そのほか不妊カウンセリングの発展や研究に寄与する活動
1.日本不妊カウンセリング学会以外の学会での不妊カウンセリング関連演題の発表 5pt
2.日本不妊カウンセリング学会以外が主催する不妊カウンセリング関連の研修会への参加 5pt
3.日本不妊カウンセリング学会以外の学会誌・学術雑誌での不妊カウンセリング関連論文の掲載 10pt
4.不妊相談やカウンセリングの実践(1~5pt)(施設以外からの依頼のみ)

(※)日本不妊カウンセリング学会 「不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター認定規定」より引用

不妊カウンセラーに需要はある?

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不妊治療の件数は増加傾向にあるため、不妊カウンセラーの需要も増加すると考えられます。不妊治療を受ける人々の負担軽減のため制度の見直しが続いており、不妊治療の件数は今後さらに増加するでしょう。

最近特に注目が集まっているのは、2022年4月から始まる不妊治療の保険適用対象拡大です。

現在、原因が明確かつ治療の安全性・有効性が確立している不妊治療に限って保険適用の対象となっています。それ以外の治療については保険適用外で、経済的負担に悩む方も多い状況が続いていました。

厚生労働省は、日本生殖医学会が不妊治療法などをまとめたガイドライン内で「強く勧められる」「勧められる」としている治療方法については保険適用とすると発表しました。

2022年4月から保険適用の対象となる治療法には、人工授精、体外受精、顕微授精などがあります。

また対象者については、不妊症と診断された男女の中で治療開始時に女性の年齢が43歳未満であることが要件となっています。40歳未満の場合は子供1人につき最大6回まで、40歳以上43歳未満の場合は最大3回まで適用でき、事実婚の男女も保険適用の対象です。

今回のように不妊に悩む人々の負担軽減のためのサポート体制の改善が続くと、経済的な理由から断念していた人が治療を開始するきっかけとなります。不妊治療を受ける人の増加に伴い、不妊カウンセラーの需要も増えていくため、今後も様々な場所で活用しやすい資格といえるでしょう。

▼参考資料はコチラ
厚生労働省「不妊治療の保険適用について」

まとめ

2022年4月から不妊治療の保険適用が始まる影響を受け、不妊治療を受ける女性の増加が予想されます。制度が整備されると社会的にも不妊治療に対する理解が深まり、多くの女性が不妊治療を受けやすくなるでしょう。

抱える悩みも患者さまによって大きく違う不妊治療には、不妊カウンセラーの存在が非常に重要。産婦人科や不妊クリニックなどでの不妊カウンセラーによるサポートで、患者さまの負担が軽減されます。現在不妊カウンセラーとして活躍している方のうち約20%が看護師で、資格取得支援のための制度を設けるクリニックも増えてきています。

妊娠・出産などに関する看護師としての知識も活かせる資格ですので、スキルアップを考えている方は取得を目指してみてはいかがでしょうか。

▼ナースステップについて詳しくはコチラ
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