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看護主任が果たす役割とは?業務内容や給料も解説

記事掲載日:2022/01/31

看護主任が果たす役割とは?業務内容や給料も解説

大きな病院では看護師の数が多く、とりまとめを担う「看護主任」「看護師長」「看護部長」などの管理職が存在します。なかでも看護主任は管理職のファーストステップで、看護師長と看護師をつなぐ立場です。

看護師長との連携も必要となる看護主任は業務量も多く責任のある役職ですが、やりがいも感じられやすいでしょう。

今回の記事では、看護主任など中間管理職の果たす役割や業務内容、さらなる昇給や昇格のポイントなどを解説します。

看護主任の役割とは

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看護主任とは、非管理職として働く看護師の上位にあたる役職です。病棟の看護業務がスムーズに進むように看護師の管理や看護師長のサポートを行います。配置する人数などに決まりはなく、一つの診療科に一人程度の場合がほとんどです。

看護主任は管理職としてマネジメントを行うだけでなく、患者さまのケアにも従事するケースが多くなっています。業務の幅が広く、高いスキルが求められるため、10年前後の経験がある看護師が任命されることが多いようです。

看護主任は管理職でありながら看護師としての業務も行う立場でもあるため、業務内容は多岐にわたります。具体的には以下の通りです。

看護業務の把握と運営

包括的な看護業務の管理は、看護主任の仕事の一つです。看護師のシフト作成や病床の管理を行い、看護業務が滞らないように運営します。

患者さまと看護師の双方の状況をきちんと把握し、管理する必要があるでしょう。

後輩看護師の指導・サポート

後輩看護師の業務上のサポートや指導も看護主任の仕事です。看護の技術に関する指導はもちろんのこと、看護師の目標設定からミスが発生したときのフォローまで広く対応します。

職場環境の整備

看護主任は、看護師が安全かつ健康に働ける環境を実現するための改善活動にも取り組みます。看護師がやりがいを感じられる仕組みの創出や患者さまの安心・安全を保つための整備など、病院内のリソースや現状の課題を見極め、多角的な視点から考えることが求められるでしょう。

患者さまのケア

看護師長の役割が主にマネジメントであるのに対し、看護主任は一般の看護師と同様に患者さまのケアも行います。看護業務をこなしつつ、周囲のサポートも行わなくてはならないため、高いスキルをもつ看護師が看護主任に任命されることが多いです。

看護主任の給与は?

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日本看護協会の『2012年 病院勤務の看護職の賃金に関する調査報告書』によると、看護主任の基本給は平均327,143円です。非管理職の看護師の基本給平均323,298円と比較して、ほとんど差はありません。

看護主任の給与には、基本給に管理職手当や管理当直の手当などが加わります。管理当直手当は7,700円ほど、管理職手当は1万円ほどが平均となります。

▼参考資料はコチラ
公益社団法人「日本看護協会」│2012年 病院勤務の看護職の賃金に関する調査 報告書

看護主任に必要な五つのスキル

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業務の幅が広く、多くの量を効率良くこなす必要がある看護主任には、様々なスキルが要求されます。すでに看護主任として働いている方も、以下のスキルの向上に努めることで仕事の質を向上できるでしょう。

看護の高度な知識と技術

患者さまのケアを行いつつ、後輩の指導やサポートをするため、看護に関する広い知識や高い技術が求められます。後輩看護師のお手本となるよう、積極的に新しい技術を身につけていく努力が必要でしょう。

リーダーシップ

看護師をまとめる役割を担う看護主任には、リーダーシップも必要です。

チームの問題点を把握して改善に導くなど、看護主任として活躍する上で非常に重要なスキルといえます。

コミュニケーション能力

幅広い業務を行う看護主任は、必然的に関わる人も多くなります。業務を進めるなかで様々な立場の人と意思疎通を図るためのコミュニケーション能力は必須でしょう。苦手意識がある方は、積極的に周囲の人と話して鍛えるようにしましょう。

視野の広さ

看護師業務の管理や、患者さまのケアと後輩指導を同時進行で行うためには、視野を広くもつことが重要です。またほかの看護師が気づかない問題点の発見や改善も看護主任の役割の一つ。看護師の業務は大変ですが、可能な限り心に余裕をもって周囲に気を配るようにしましょう。

マネジメント能力

業務が円滑に進むように看護師の管理を行う看護主任には、当然ながらマネジメント能力が求められます。チーム全体の動きを考えながら、日々の業務に取り組むことを意識しましょう。

看護主任として働くメリット

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非管理職の看護師から看護主任となると、以下の三つのメリットがあります。

スキルアップにつながる

看護主任になると、業務の幅が広がり、マネジメントのスキルも鍛えられます。管理職としての視点から、自分の業務について見つめ直せるチャンスでもあります。また、後輩看護師の指導は自身のスキルアップにもつながるでしょう。

昇格や昇給のチャンスを得られやすい

看護主任になると、看護師長や看護部長などへの昇格も視野に入ってくるでしょう。将来的にさらに上の立場で活躍したいと考えている方にとっては通るべき道と言えるでしょう。

職場での発言力が高まる

他の看護師への影響力も大きくなります。職場で問題意識を感じていた事項についての指摘が聞き入れられる可能性も上がるでしょう。働く環境を改善することで、さらに周囲の信頼を得られるでしょう。

今後のキャリアアップは?

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看護主任の以後のキャリアとしては、以下の二つが考えられます。

看護師長や看護部長を目指す

看護師としてのスキルが認められて看護主任になると、看護師長や看護部長に昇格できる可能性も見えてきます。看護師長とは、看護主任の業務に加えて病棟内の看護の質向上のための目標設定やチームの連携、看護に関わる研究の推進を行う立場です。

また、看護部長は業務計画書の作成や施設運営への参加など病院運営にも関わる役割を担います。同じ病院内でのキャリアアップを目指すなら、看護師長や看護部長への昇格が選択肢に入ってくるでしょう。

他の病院への転職

患者さまに関わるケアが好きという方は転職を検討しても良いでしょう。

看護師としての高い技術が求められるため、看護主任を務めた経験は自身の看護スキルの証明となります。また、看護師のマネジメント業務や看護師長のサポート業務などを通して、ほかの職場でも活かせるスキルを磨けます。そのため、転職時にも有利となるでしょう。

まとめ

今回は、看護師の管理職の第一段階である看護主任の役割などについて解説しました。看護主任になったばかりのときは、通常の看護師業務に加えて管理業務をこなす必要があるため、負担が大きく感じるかもしれません。

一方、今後のキャリアを考えると、中間管理職としての幅広い業務経験はプラスとなります。また、患者さまとも引き続き関われる立場だからこそやりがいも感じられやすいでしょう。