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内視鏡室の看護師を解説!【役割・向いている人・資格・面接対策】

記事掲載日:2021/01/22

内視鏡室の看護師を解説!【役割・向いている人・資格・面接対策】

内視鏡室は、看護師が活躍できる職場のひとつです。主に内視鏡検査や治療を行う場所ですが、看護師が担う役割や具体的な仕事内容をご存知でしょうか。今回は、内視鏡室勤務の看護師の詳しい仕事内容や1日のスケジュール例をご紹介します。内視鏡室勤務が向いている人の特徴や、面接時の志望動機・自己PRの例文も解説しますので、ぜひ参考にしてください。

内視鏡室における看護師の役割・仕事内容

内視鏡室における看護師の役割・仕事内容

内視鏡室とは、胃カメラや大腸カメラなどの「内視鏡」を用いて、検査や治療を行う部署です。検査により消化器系のポリープやがんといった疾患を早期に発見し、除去など体への負担が少ない治療を行います。

他にも、食道静脈瘤の治療や胆石治療、胃ろう造設、気管支鏡、異物除去・止血などの処置を実施します。近年は技術が進歩しており、内視鏡による手術も実施可能です。

内視鏡室において看護師は、検査や治療がより円滑に進むよう補助・サポートする大切な役割を担っています。主な仕事内容は下記の通りです。

  • 機材のセッティングや洗浄・片付け
  • 患者さまの介助・検査や治療前後の観察
  • 医師や技師のサポート
  • 患者さまやご家族への説明

機材のセッティングや洗浄・片付け

内視鏡室で看護師は、スムーズに内視鏡検査・治療ができるよう、必要な薬剤や機材のセッティングを行います。

また、検査・治療の終了後には、使った機材の洗浄と片付けも対応します。機材には便や血液などが付着するため、感染対策を十分にしたうえで、マニュアルに従った方法で洗浄していきます。高額な機材を扱うため、注意が必要な業務です。

患者さまの介助・検査や治療前後の観察

内視鏡室の看護師は、患者さまに安心して検査・治療を受けていただけるよう、介助を行います。内視鏡検査・治療は比較的低侵襲ですが、患者さまの負担は大きく、とくに初めての患者さまは不安を抱えやすいでしょう。

患者さまの不安や苦痛を少しでも軽減できるよう、検査や治療の前後で適切な声かけをしたり、必要に応じて鎮静剤や麻酔の投与を行います。検査中〜終了後も患者さまの状態の観察やバイタルサイン測定を実施するなど、細やかな対応が必要です。

医師や技師のサポート

内視鏡室の看護師は、検査・治療中は医師の指示に従い、業務のサポートをします。使用した薬剤やバイタルサインの推移などの記録も、非常に大切な業務です。

臨床工学技士がいる施設では、連携して業務を行います。臨床工学技士が少ない施設の場合は、看護師が医療機器の点検や備品の管理をすることもあるでしょう。

患者さまやご家族への説明

内視鏡室の看護師は検査や治療の前後において、患者さまとそのご家族に対して説明を行います。検査・治療に対する患者さまやご家族の不安を取り除き、納得していただいたうえで検査が受けられるよう、丁寧かつ真摯な対応が必要です。

患者さまが、少しでも疑問に感じることがあれば質問できるように、よい雰囲気作りも大切といえます。

【スケジュール例】内視鏡室勤務の看護師の1日

9:00 始業準備
9:15 ミーティング
9:30〜12:30 検査・治療の介助
12:30〜13:30 休憩
13:30〜16:30 検査・治療の介助、リカバリー室の患者さまの状態確認、機材の洗浄・消毒など
17:00 片付け・記録・翌日の準備
18:00 終業

内視鏡室勤務の看護師は、1日の検査・治療の人数が決まっているため基本的に残業が少なく、日勤のみであることがほとんどです。多くの場合で夜勤はありませんが、日中は検査や治療を予定通りにこなすことが求められます。

なお、同じ内視鏡室勤務であっても、クリニックや総合病院など、働く施設によってスケジュールは異なるでしょう。

内視鏡室勤務に向いている看護師の4つの特徴

内視鏡室勤務に向いている看護師の4つの特徴

  • 常に新しい知識・技術を学び、勉強できる
  • 段取りを考えてルーティンワークをこなせる
  • 患者さまに寄り添い、臨機応変に対応できる
  • ワークライフバランスを考えて働きたい

前向きに学ぶ姿勢がある看護師や、状況に応じて柔軟な対応ができる看護師などは、とくに内視鏡室勤務に向いています。内視鏡室ならではの特徴がありますので、以下で詳しくみていきましょう。

常に新しい知識・技術を学び、勉強できる

内視鏡室での勤務は、常に新しい知識と技術を学び、吸収することが苦にならない人に向いています。内視鏡室で扱う機器や検査・治療の技術は、日ごとに進歩します。アップデートされていく機器の扱いや検査方法、治療方法などについて、自身の知識や技術を磨くことが欠かせません。

研修会や講習会が少ない診療所などで働く場合は、自身で勉強する機会を探す必要もあります。

段取りを考えてルーティンワークをこなせる

内視鏡室で働く際は、段取りを考えてスケジュール通りに仕事をこなせるかどうかが求められるでしょう。内視鏡専門の病院やクリニックなどに勤務する場合、1日に対応する検査・治療の数は多いです。1日あたり10件前後対応する場合もあります。

物品の準備や患者さまへの説明、機材の洗浄・消毒など業務量も多いため、大変と感じる人もいるかもしれません。無駄なく効率的なルーティンワークが得意な人や、先を見据えた行動ができる人などが向いています。

患者さまに寄り添い、臨機応変に対応できる

短時間で患者さまの気持ちに寄り添える人、その場の状況に応じた柔軟な対応ができる人も向いています。

内視鏡室勤務と病棟勤務の大きな違いは、訪れる患者さまが日々異なる点です。病棟勤務と比較すると、患者さまとじっくり時間をかけて関わることが難しく、物足りないと感じる人もいるでしょう。

しかし内視鏡室では、検査や治療の短い時間で患者さまの疾患や抱えている不安、気持ちなどを汲み取り、素早く対応することが求められます。患者さまと関わる時間が少ない中で、いかに適切な判断・行動ができるかがポイントです。

ワークライフバランスを考えて働きたい

内視鏡室での勤務は、仕事と家庭の両立を重視して働きたい人や、ブランクから復帰する人、今後結婚や出産などのライフイベントを控える人などにも向いている職場といえるでしょう。

内視鏡室勤務は病棟勤務とは異なり、比較的残業が少なく、夜勤もほとんどありません。勤務先の施設によって多少の違いはありますが、ブランクから復帰しやすい傾向もあります。内視鏡室での看護師の仕事は専門性が高いため、とくに経験者は優遇されるでしょう。

【看護師必見】内視鏡室で働く際に役立つ2つの資格

これから内視鏡室の看護師を目指すのであれば、次に紹介する2つの資格取得を考えてみましょう。資格取得は必須ではありませんが、スキルアップにつながります。

消化器内視鏡技師資格

1つ目は消化器内視鏡技師資格です。内視鏡をはじめとする機材の管理や整備、そして医師による検査や治療の介助などが主な業務です。

資格を取得するためには、まず消化器内視鏡部門で専門医による指導のもと、2年以上実務経験を積まなければいけません。さらに所定の講習会や講義、学会などに出席し、書類審査、学術試験、そして口述試験をパスする必要があります。

カプセル内視鏡読影支援技師

2つ目はカプセル内視鏡読影支援技師です。医師の指導のもとに、カプセル内視鏡の画像診断をサポートするのが主な業務です。

資格取得のためには日本カプセル内視鏡学会の教育カリキュラムを受け、さらに指導医のもとで小腸用カプセル内視鏡検査の画像診断支援を、年間で10症例以上経験する必要があります。

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【看護師向け】内視鏡室への転職を目指す志望動機・自己PR例文

【看護師向け】内視鏡室への転職を目指す志望動機・自己PR例文

内視鏡室への転職を考えている看護師向けに、志望動機と自己PRの例文をご紹介します。転職成功を目指すためには、内視鏡室の特徴をしっかり押さえて記載することが重要です。

内視鏡室への転職を考える看護師の志望動機例文

【志望動機例文1】内視鏡室の経験がある場合

これまで、総合病院の内視鏡室を5年経験しております。とくに検査時の患者さまの不安を軽減するよう、声かけに配慮し業務を行ってまいりました。

また、チームで連携し効率的に業務を行う能力も身についていると自負しています。将来的には、消化器内視鏡技師の資格取得を考えております。

最先端の内視鏡技術を提供している貴院であれば、前職で身につけた内視鏡看護の専門スキルを活かし、今後もさらなるスキルアップを目指せると考え、志望いたしました。

内視鏡室勤務の経験がある場合は、これまで身につけたスキルや知識を活かせることを踏まえて記載しましょう。

内視鏡室で働く際は専門的な知識が必要なため、経験者が優遇される傾向にあります。しかし、経験があっても、内視鏡看護師は新しい情報の勉強が常に必要です。スキルアップのため勉強し続ける気持ちがあることをアピールしましょう。

【志望動機例文2】内視鏡室が未経験の場合

消化器内科病棟で4年間勤務いたしました。前職では、内視鏡検査を受けられる患者さまを受け持つことも多くあり、その中で検査に対する不安な思いを何度も聞いてきました。

内視鏡室の看護で、この経験を活かしたいと考えるようになり、内視鏡の実施件数が多い貴院を志望いたしました。内視鏡に関する技術を積極的に覚え、スキルを磨いていきたいです。内視鏡を受ける患者さまの不安を軽減できるよう、質の高い看護を提供したいと考えています。

内視鏡室での勤務経験がない場合は、積極的に新しいことを覚える意欲がある点をアピールしましょう。志望先の特徴を捉え、自身が実現したい看護についても記載するのがおすすめです。

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内視鏡室への転職を考える看護師の自己PR例文

【自己PR例文1】経験やスキルを伝える場合

総合病院の内視鏡室勤務が長いため、ひと通りの経験をしてきました。多くの症例に対応してきたため、さまざまな処置に対応するスキルはもちろんですが、どのような状況下でも冷静に判断できる能力が養われました。これまでの内視鏡看護の経験が私にとっての財産です。

培ってきた経験を活かして、将来は後輩の指導にも積極的に関わっていきたいと考えております。また、今後も発展し続ける内視鏡技術に対応できるよう自己研鑽を積み、さらなるスキルアップに努めてまいります。

経験やスキルが多いことをアピールし、実際に働いたときの様子を具体的にイメージできるように記載しましょう。経験が多いことは強みですが、さらなるスキルアップを目指して勉強する気持ちがあることもアピールするのがおすすめです。

【自己PR例文2】自分の性格や姿勢を伝える場合

私の強みは、とくに他職種のスタッフとうまく連携をとりながら働ける点です。医療はチームワークが重要だと考えています。相手の立場を考え、必要な情報を漏らさず伝えるように気を付けています。

前職のクリニックでは、少ないスタッフで、お互いに足りない部分があってもカバーし合いながら良い関係を保って勤務してきました。貴院でも他のスタッフとのコミュニケーションを密に取り、内視鏡検査に不安を抱える患者さまに安心していただけるような、質の高い医療を提供したいと考えています。

内視鏡室では他職種との連携も重要です。前職で他のスタッフとよい関係を保っていたことを根拠に、協調性をアピールできます。自身が具体的に気を付けている点の例をあげ、志望先でどう役立てられるか、イメージが湧くように記載しましょう。

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内視鏡室で働く看護師に関するQ&A

内視鏡室で働く看護師について、よく聞かれる質問を以下にまとめました。転職をお考え中の方は参考にしてみてください。

Q.内視鏡室の看護師求人は未経験でも応募できる?

A.経験者が優遇される傾向がありますが、未経験でも可能です。

内視鏡室での看護師の業務は専門性が高いため、一般的に未経験者よりも経験がある看護師の方が優遇されやすい傾向があります。ただし、研修体制が整っている施設などでは、未経験でも応募可能な求人もあります。求人情報からその施設の研修体制を調べたり、志望先の施設に直接質問したりして、事前に確認するのがおすすめです。

Q.内視鏡看護師の仕事はきついって本当?

A.常に勉強が必要で、施設によっては業務量が多い場合もあり、きついと感じる方もいるでしょう。

内視鏡看護の特徴として、覚える業務が多い点やルーティンワークが多く単調に感じてしまうことなどがあります。内視鏡専門病院などの場合、業務量も多いです。これらを理由に大変な仕事といわれるケースもあるでしょう。

しかし、「内視鏡」分野の専門性を高め、日々進歩する新しい医療に触れられるという魅力も大いにあります。

Q.内視鏡看護師として活躍するために、どう勉強すればよい?

A.実際の勤務で内視鏡室での基本的な看護を学び、その後、書籍やセミナーなどに参加して学ぶのがよいでしょう。

まずは実際に勤務して、先輩看護師から内視鏡室での仕事に関する基礎知識を学ぶことから始めましょう。その後、資格取得を目指したり、自ら書籍やセミナー、研修などで学んだりするのがおすすめです。

Q.看護師が内視鏡室に転職するメリットは?

A.ワークライフバランスを保ちやすく、ブランクがあっても復帰しやすい点などがメリットです。

【内視鏡室勤務の主なメリット】
  • ワークライフバランスを保ちやすい
  • 基本的にルーティンワークであり、仕事を覚えやすい
  • 転職やブランク明けの復帰がしやすい など

内視鏡室は基本的に日勤のみのことが多く、残業もほとんど発生しません。そのため、仕事とプライベートと両立がしやすい点がメリットです。

経験者であれば再就職の際にも仕事を探しやすく、産休・育休明けでも比較的復帰がしやすいでしょう。覚えることはたくさんありますが、基本的にはルーティンワークがメインです。仕事を覚えやすく、メリットを感じる人が多いといえます。

Q.看護師が内視鏡室に転職する際の注意点は?

A.内視鏡技術の進歩に合わせて常に勉強し続ける必要がある点や、病院によってマニュアルが異なる点に注意が必要です。

【内視鏡室勤務の主な注意点】
  • 技術の進歩に合わせて勉強し続ける必要がある
  • 患者さまと関わる機会が少ない
  • 病院によってマニュアルが異なる

内視鏡技術は日々進歩しているため、研修会や書籍などで勉強し続ける必要があります。病棟看護師の仕事とは異なり、患者さまと関わる時間が非常に短いです。人によっては、患者さまとの関わりに物足りなさや難しさを感じたりすることもあるでしょう。

また、内視鏡のマニュアルは、医療機関ごとに細かい手順やルールが異なっています。転職する際はしっかりとマニュアルを確認し、改めて覚える必要があるでしょう。

内視鏡看護師は、専門性が高くやりがいのある大きな仕事

内視鏡室における看護師の仕事は、機材の準備や患者さまの介助、医師・技師のサポートなど多岐にわたります。看護師の言葉がけ次第で、患者さまが安心感を得られたり、苦痛の緩和につながったりするでしょう。

患者さまと関わる時間は短いものの、病気の早期発見や治療につなげられるなど、非常にやりがいのある仕事です。専門性を常に磨く必要がありますが、ワークライフバランスを重視できるなど魅力もあります。看護師としての専門性を高めたい方は、ぜひ転職先の候補として検討してみましょう。

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内視鏡室の求人情報も多数ありますので、やりがいを感じながら看護師として働きたいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。